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【現代社会学部】環境政策(諏訪)ゼミ4回生が千葉大学公共学会主催 第5回SDGs日本政策学生研究会」で分科会賞を受賞しました

 
2024年2月12日、千葉大学公共学会が主催する「第5回SDGs日本政策学生研究会」(Japan Inter-college Policy Studies for SDGs (JIPSS))にて、現代社会学部4回生の石田あずみさんが、令和5年度提出した卒業論文「メガソーラー設置反対運動における土地所有者-移住者間の合意形成」の発表を行い、分科会賞を受賞しました。

SDGs日本政策学生研究会は、国連持続可能な開発目標(SDGs)の実現にあたって、社会の持続可能性に関わる課題について、学生が主体的に調査研究を行い、その結果を行政、企業において持続可能性に関わる仕事をしている社会人に発表する機会とするもので、提出された論文について公共学会メンバーが審査して選出する優秀論文賞に加え、各分科会での投票によって選出される分科会賞(プレゼン賞)を授与しています。石田さんの受賞は、以前お知らせした、吉岡さんの優秀論文賞と のダブル受賞になります。石田さんのひたむきな調査姿勢が、審査員等から高く評価されました。

論文の内容
2012年の固定価格買取制度の施行以降、太陽光発電事業の急速な進展がありました。しかし、これに伴い、メガソーラー建設計画に対する反対運動が増加しています。これは、景観の悪化や土砂災害の懸念などが背景にあります。

この状況を改善するため、各自治体では2017年以降、条例整備が進められてきました。これまで、事業者への規制に関する研究は行われていますが、反対運動を行う団体そのものに関する調査は不十分でした。そこで、本研究では四つの地域に焦点を当て、反対運動を行う団体の代表者やメンバーが、従来からの住民であるか移住者であるか等の属性と反対運動の関係を明らかにしました。

まず、静岡県函南町では、土砂災害の懸念から反対運動が起こりました。メガソーラーを考える会の構成員の半数以上が移住者であり、土地所有者は協力的な姿勢を示しています。一方、山梨県北杜市では、移住者が多く、反対運動が活発化しています。地元住民の影響力は弱く、事業者の態度も問題視されています。長崎県宇久島では、移住者が少ないため地元住民の影響力が高い中、反対運動が展開されています。一方で、奈良県平群町では、移住者の影響力が強く、地元住民との価値観の相違が課題となっています。

これらの調査結果から、メガソーラー反対運動においては、移住者の存在が重要な要素であることが示唆されます。例えば、今回調査を実施した団体の代表者は4名とも他の地域からの移住者でした。土地所有者との関係性が希薄である「移住者」という属性は、地縁からの距離感につながり、メガソーラー建設計画において何等かの主張をする前提となりうることを示しているようです。

今後は、属性の違いに関わらず、住民の総意を尊重したメガソーラー建設計画の進行が求められます。そのためには地域の特性や住民の意向を十分に考慮した制度改革として、行政の規制の強化や事業者へのチェック体制の整備が必要です。
 
(ヒアリング結果から石田さん作成)

「第5回SDGs日本政策学生研究会」についてはこちらhttps://pub-a.le.chiba-u.jp/archives/2307をご覧ください。※千葉大学公共学会のウェブサイトに移動します。