

プロジェクトテーマ
私たちの問題意識
性暴力撲滅プロジェクトは、社会で軽視されている性暴力の「深刻さ」を伝え、性暴力に対する社会の目が厳しくなることを目指す活動です。
私たちは、痴漢・盗撮といった性暴力が社会でまだまだ軽視されていると考えます。
たとえば、インターネットで「痴漢」と検索すると「女にみだらな“いたずら”をする男」とヒットします。これは、痴漢が「いたずら」のような軽いものだと認識されていることの表れだと私たちは考えます。「いたずら」と聞くとどうしてもお茶目で子どもっぽいイメージがあります。実際、「いたずら」で画像検索をすると子どもの写真ばかりがヒットします。また、日本の法律では14歳未満の子どもがした行為は刑事罰に問われません。
このような実情から、「いたずら」という言葉には「大したことない」「罪ではない」という意識が含まれているのではないかと私たちは分析しました。これが痴漢の意味に用いられていることは、痴漢・盗撮が軽いものと思われ、重大な犯罪、あるいは暴力であるという意識が軽薄になることにつながると考えます。
他にも痴漢・盗撮が社会で軽視されている要因があります。
それは、多くの痴漢や盗撮が、刑法の不同意わいせつ罪ではなく迷惑防止条例で検挙されている現状です。
不同意わいせつ罪 | 迷惑防止条例 | |
---|---|---|
刑法176条 | 法の区分 | 地方自治体が個別に制定 |
拘禁刑のみ | 刑罰の種類 | 拘禁刑と罰金刑が存在 |
6ヶ月以上10年以下の拘禁刑 | 刑罰 | 多くの自治体で6ヶ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑 |
起訴されれば必ず裁判が開かれる | 手続 | 公開裁判を経ない略式手続が可能 |
このように、2つの法には大きな違いがあります。しかし、多くの痴漢・盗撮が、不同意わいせつ罪よりも刑罰の軽い迷惑防止条例で検挙されるため、被害の深刻さが軽視されているのではないかと考えます。
社会で痴漢・盗撮が軽視される要因は他にもあると私たちは考えます。
私たちは、痴漢や盗撮が社会で軽視されている要因は他にもあると考えています。
たとえば、被害者に遭ったときの警察の不適切な対応や、成人向けコンテンツにおいて痴漢が「気持ちの良いもの」や」「女性が喜ぶもの」として商品化されていることがあります。また、過去には痴漢が「日常茶飯事」とみなされていた時代があり、現在でも痴漢を「スキンシップの一部」と本気で思いこむ人がいるのは残念なことです。
このような実態や経験が加護される社会では、痴漢・盗撮の深刻さが理解されないままです。
「社会で軽視されている性暴力の「深刻さ」を伝え、性暴力に対する社会の目が厳しくなることを目指す」
そこで、私たちは「痴漢・盗撮を軽視する社会に問題提起し、性暴力に対する社会の目が厳しくなることを目指す」という問題意識を設定しました。
痴漢や盗撮が軽視される社会は被害者を追い詰め、被害者は沈黙を強いられます。社会全体が被害と被害者の声を見えなくしてしまうのです。このままでは痴漢や盗撮の問題が放置され、加害者にとって都合のよい環境はなくならないままです。性暴力を許さない社会を実現するためにも、痴漢・盗撮は軽視してはいけない深刻な問題であるという認識を社会に広める必要があると私たちは考えています。
社会の現状
痴漢・盗撮が軽視されている
①被害者を追い詰め、沈黙させる
↓
➁社会全体が被害と被害者の声を見えなくする
↓
➂痴漢・盗撮が放置される