Follow Us

ジェンダー教育研究所

#ジェンダー教育研究所

「この日本だからこそ、女子大は積極的格差是正措置(アファーマティブ・アクション)としての存在意義がある」竹安学長が日本国際連合協会で講演。

竹安栄子学長[ジェンダー教育研究所兼担研究員]が11月23日、日本国際連合協会京都本部主催(共催:外務省)の「国連公開講座「世界を語る」国際社会を生きる~ジェンダー平等達成をめざして~」に登壇しました。竹安学長は「世界の中の日本~ジェンダー視点から見た日本の姿~」というタイトルで講演を行いました。
この講座は、国連や国際情勢をめぐる知識の普及を目的に、毎年、実施されています。世界人権宣言採択 75 周年にあたる今年は、国連が掲げる SDGs に含まれるジェンダー平等をテーマにした議論が行われました。

竹安学長は、日本の現状をOECD等の統計から示しつつ、とりわけ高等教育機関の女子卒業生や修了生のうち、自然科学・数学・統計学分野の卒業生の割合は27%(2021年現在)しかなく、38カ国中38位と最下位であると指摘しました。その上で「この分野に女子学生を送りこむことが必要。本学はデータサイエンス学部を開設し、日本の教育機関のいわゆる“規範”にもチャレンジしている」と強調しました。さらに、こういった状況で女子大は「女性へのエンパワメントを行うとともに、ジェンダー規範を変化させていく場所であり、社会における積極的格差是正措置(アファーマティブ・アクション)としての存在意義と価値がある」と論じました。これに対し、「女性が輝くスウェーデンから何を学ぶか」をテーマに登壇した元駐スウェーデン特命全権大使の廣木重之氏は「受けた教育は誰からも奪われない。そういった意味でも京都女子大学の取り組みは重要。リスキリングの役割もおおいに担っていただきたい」と本学のジェンダー平等推進に果たす役割にエールが送られました。

また、京都産業大学現代社会学部教授の伊藤公雄氏は、スウェーデンで調査をしてきた経験を踏まえ「スウェーデンはもともと家父長制の強い国であったが、1970年代に労働力不足を経験し、それを機に福祉国家の確立と女性の参画がペアで進んだ。それに伴い、社会も変わった。今、同様の課題を抱える日本が変われないはずはない」と述べました。さらに、竹安学長からは「スウェーデンは人口不足が女性活用の起爆剤になったが、人々に浸透してしまっているいわゆる“規範”、例えば制度があったとしても「男性は育休を取るべきではない」というような組織の雰囲気をどうやって変えたのか」という問題提起も行われ、育休取得者のカバーを行うことができる制度構築の重要性についても活発な議論が行われました。

講座には、本学学生らも参加しました。今、就活中という学生は講演後「これまで女子大というある種の多様性に欠ける環境にいることが気になっていた。しかし、講演を聞いて思い返してみると、京女に入ってから、女性だけの空間で、自分はリーダーシップを取った経験と自信も持つことができた。改めて女子大の意義について確認した」と気づきを語りました。 
  • 11月23日、龍谷大学響都ホール校友会館(京都・南区)