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室長挨拶

ウェルビーイングを支える心理支援と教育を目指して

心の相談室室長 下津咲絵先生
京都女子大学大学院「こころの相談室」は、2001年の開設当初、臨床心理士養成の実習機関として相談活動を開始しました。本相談室は、大学院発達教育学研究科に属する立場から、「子育て教室」など発達臨床に焦点を当てた相談や支援活動を継続し、学生にとって実践的な学びの場として重要な役割を果たしてきました。 
 
現代社会において、心の健康は極めて重要な課題です。日本でも、厚生労働省の調査によれば、年間500万人以上が精神的健康問題で医療機関を受診しており(厚生労働省, 2021)、こころの問題は誰にでも身近なものとなりました。こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことができる社会づくりが国の掲げるテーマの一つともなっています。 
 
このような状況を受け、心理的支援に対する社会的関心とニーズが高まり、2015年には「公認心理師法」が成立しました。これにより、日本初の心理職の国家資格である「公認心理師」制度が創設され、本学でもこの新たな資格の養成課程を大学および大学院に設置しました。 
 
公認心理師は、保健医療、福祉、教育、司法、産業・労働といった多様な領域での活躍が期待されています。特に、他の職種や関係者と連携しながら心理支援を実施できる人材の育成が求められています。多職種との連携においては、心理職としての説明責任を果たす力が重要であり、そのためには心理学の基礎知識とエビデンスに基づくアセスメントおよび支援が極めて大切です。 
 
本学では、サイエンティスト-プラクティショナーモデル(科学者-実践家モデル)に基づく実践家の育成を教育方針に掲げており、高度な専門知識と実践力を持ち、質の高い心理ケアを提供できる心理専門職の育成を目指しています。 
 
本学「こころの相談室」は、公認心理師養成における実習機関としての役割と、臨床心理学研究におけるエビデンスの創出に貢献する研究機関としての責務を担い、今後も研鑽を重ねつつ、相談機関として地域への貢献を目指してまいります。