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ジェンダー教育研究所

#ジェンダー教育研究所

〔報告〕連続講座(全6回) 日本のジェンダー政策と法整備の道のり —1970年代から現在、そして未来へ—  【開催中】

 京都女子大学は、日本の女子大学で唯一「法学部」を配し、法律の専門性を身につけた卒業生を輩出しています。また、2022年10月1日には、「ジェンダー教育研究所」を開所し、未来を拓く実力ある人材の育成を進めています。
本研究所の開所から1年、未来への道しるべとして、『国内外の法律整備の過程』と『ジェンダー課題』に焦点をあて、全6回の連続講座を開催しています。1970年代から2023/2024年までの50余年を振り返り、学び、学び直し、未来展望への足がかりにしたいと思います。

<第1回:2023年9月16日(土曜)> (終了しました)
第1部 ご講演
講 師:田中由美子さん(国連女性の地域委員会日本代表委員、
                                   国際協力機構(JICA)シニア・ジェンダー・アドバイザー)
テーマ:国連女性の地位委員会を中心とするグローバルフェミニズムの挑戦  

講 師:萩原なつ子さん(国立女性教育会館 理事長)
テーマ:NWEC(国立女性教育会館)のミッションとは何か —過去・現在、そして未来へー 

講 師:前田直子さん(本学法学部教授、国連拷問禁止委員会委員)
テーマ:国連人権条約によるジェンダー平等の追求とその発展 
第2部 パネルディスカッション
<パネリスト> 田中由美子さん、萩原なつ子さん、前田 直子さん
<コーディネーター> 中山まき子(ジェンダー教育研究所 特定教授)

第1回の講演ポイント: 
1979年、国際社会では差別の根絶を、わけても「女性差別」の根絶をめざし、国連は「女性差別撤廃条約」(Convention on Elimination of All forms of Discrimination Against Women)を採択しました。
日本は1985年に同条約を「批准」し、同年7月25日に効力が発生しています(第2回テーマ)。
 (1)国連と日本のジェンダー平等推進を詳しく学ぶ。
1946年「国連女性の地位委員会」(CSW) が設置され、同委員会は女性差別撤廃条約の起草・採択に貢献し、グローバルフェミニズムの推進、ジェンダー政策・条約・国際基準の設定や推進を担ってきました。同委員会やESCAP委員会は毎年、女性・平和・安全保障のために、市民社会と協働・Networkしながら地道な合意形成を進めています。国内でも、国際協力機構(JICA)に「ジェンダー平等・同主流化」部門が配され、女性のエンパワーメント事業が実施され続けています。
田中さんは当初は国連職員として、後にJICA専門員として、ネパール、カンボジア、アフガニスタン、タンザニア等のジェンダー主流化事業に、焦らず・諦めず情熱とやり抜く力を保持し続け、2018年からはCSW日本代表として力を注ぐなど、自身の軌跡をさりげなく語りつつ、次代の若者の活躍に期待を寄せているとエールを送りました。
 (2)NWEC(ヌェック)とその機能・役割
国連・先進諸国の条約批准等の流れをうけ、1977年には旧文部省が「国立女性教育会館」(National Women‘s  Education Center)を建設・開所し、国際会議の開催や研修はもとより、国内女性およびジェンダーの教育・研究・研修等の拠点として、半世紀の歴史を重ねてきました。国内外約14万冊を超える文献・資料が保持され、また国内外の人の交流拠点機能を有し、誰でも気軽に宿泊可能で活用できる施設であること。今後は内閣府(主管)と文部科学省との共管になり、さらに多様な事業に取り組んで行くこと等、萩原理事から歴史的推移と共に未来展望も語られました。
 (3)国連人権条約・拷問禁止委員会の機能と役割
女性差別撤廃条約を批准してなお、ジェンダー平等に関する問題は山積しています。それらの改善を目指し、国連で他の人権条約の下でも多くの議論が交わされています。その見張り番の一つとして、拷問禁止委員会があります。拷問等禁止条約が扱う問題は広く、女性に対する暴力禁止の法制化、収容施設での衛生状況や医療に関し女性特有のニーズへの対応、拷問や暴力等の被害者のニーズに配慮したリハビリの提供など含むそうです。前田委員は同委員会での取り組みが、日本の政策や法整備に様々な影響や示唆を与え続けていると紹介しています。
 
  • 講 師:田中由美子さん(国連女性の地域委員会日本代表委員、国際協力機構(JICA)シニア・ジェンダー・アドバイザー)
  • 講 師:萩原なつ子さん(国立女性教育会館 理事長)
  • 講 師:前田直子さん(本学法学部教授、国連拷問禁止委員会委員)