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【現代社会学部】自主制作ドキュメンタリー映画「あなたが私のパパですか? Are you my Dad?」上映会

                                        現代社会学部 嘉本伊都子

 2025年11月11日(火)の国際結婚論の授業では、沖縄から太田あきのさん、悠晴さんをお迎えして自主制作ドキュメンタリー映画「あなたが私のパパですか? Are you my Dad?」の上映会をおこないました。夫の悠晴さんが技術的なバックアップをしてくださいました。ちなみに今回の素敵なポスターも悠晴さんが嘉本の案を修正してかっこよく作り直してくれました。
 上映後に、どのようにDNA検査をして、顔も名前も知らない元米兵の父親とつながったのかなど映画では詳細には描かれていない部分をあきのさんから教えていただいたあと、各グループで感想や疑問点を話しあい、あきのさんからお答えを頂きました。
 学生さんから提出していただいた感想文を抜粋しましょう。

 「ハーフですか?」と尋ねる行為は、無意識のうちに相手を異質な存在として位置付け、コンプレックスを刺激するマイクロアグレッションになり得るという視点が、自分には欠けていたと気づかされた。このようなアンコンシャス・バイアスによって現れる言葉は、当事者は何度も聞かれている事だということを意識する必要があるなと思った。

 自分の唾液でDNAがどこの国かがわかることにすごく驚きました。太田さんがお父様と会えたのも現代の科学の進化とタイミングが合わないと会えてなかったかもと聞いて本当に奇跡ってあるんだなと感じました。DNA検査で本当の家族に繋がっても連絡先をブロックされることもあると知り、自分の家族なのに無神経すぎると思いました。太田さんのお父様が太田さんと国を跨いで会えたのもお父様自身も太田さんのことを心の中でずっと思い続けながら生きてきたから、お互い心のどこかで思い続けてたから会えたんだと思います。

 太田さんはお父さんと出会えることができたけど、他の人は連絡を切られたりすることもあると聞いて衝撃を受けました。きっと家族がいるから、隠し子がいることを知られたくないのだろうけど本当に酷いし、されたほうはとても辛かったと思います。私は京都府育ちなので米軍基地が土地の多くを占める沖縄の人の気持ちはよく分からなかったけど、沖縄と米軍の問題について理解することができました。身近な人の体験談を聞いたことによって遠い世界の話だと思っていた米軍基地問題が身近なものになったので、ニュースを見るときにもっと注目してみようと思います。

 私は大阪で育ちで在日外国人といえば朝鮮出身者であったので、米軍基地が点在する沖縄ではミックスといえば相手はアメリカ人という感覚を知らず、映画を鑑賞した。日本では外国人とのミックスというだけで良くも悪くも特別扱いを受けてしまうのが現状であるが、今回学んだケースはそれに加え沖縄という米軍基地が土地の多くを占める環境下における日本人と外国人の歴史が生み出した価値観がさらなる事態の複雑化を招いていた。あきのさんは自身の出生に関して悪い想像を膨らませてしまっていたと語っていたが、視聴後にさせていただいた質問で身近に米兵の非合意な性交の結果生まれた子どもはいなかったと返答を頂いた。実際に事例を目にしたわけではないにもかかわらずそのような推測に苛まれてしまうのは、在日米兵への偏見だけでなく日本国内の単親家庭を黙殺する制度や価値観に依る部分も大きいのではないかと感じた。

 「自分の知らない領域に入り、その真実を知ることはとても勇気のいる行動であることも話を聞き学びになりました。お話を聞かせていただき、本当にありがとうございました」という感想からもわかるように、多くのことを学生が感じ取ってくれたと思います。学者ではなく、等身大の当事者としての「気持ち」や「行動」として理解し、よりそうことの大切さを「あなたが私のパパですか?」から学んだのではないでしょうか。沖縄から来てくださり、何でもお話しますと言ってくださりありがとうございました。感想文から来年も上映させてもらいたくお願いしました。来年もお待ちしております。 
  • 質問に答えてくださる太田あきのさんと学生たち