現代社会学科
【現代社会学部】社会調査実習Ⅱ(佐藤クラス):YUKI PALLIS COLLECTIONを訪問しました
10月27日(月)にYUKI PALLIS COLLECTIONを訪問しました。オーナーのユキ・パリスさんが1970年にデンマークに移住以来、50年以上にわたりヨーロッパ各地で蒐集した刺繍やレース、道具等を展示するミュージアムです。ユキさんは、手仕事に関する展覧会の企画・監修・コーディネートをされており、手仕事・手芸をキーワードとした書籍も多数執筆されています。当日は、一時帰国されていたユキさん自ら展示品について解説してくださいました。
私がもっとも感動したのは、展示室にびっしりと並べられた刺繍やレースのすべてに対して、ユキさん自身が強い思い入れとともに、豊富な知識をもっておられたことです。また、完成した手芸品の収集だけでなく、道具やサンプラー、スタディクロスも多く展示しており、手仕事に励んでいた人々に思いをはせることができるミュージアムでした。
社会調査Ⅱ(佐藤クラス)では、今回が最後の合同調査でした。これまでの座学と3回の合同調査、各自のフィールドワーク・文献調査を経て、学生のなかには気づきや問いが生まれ、ユキさんに対しても積極的に質問をしている者もいました。目の前にいる人々の語りや、彼らとの対話から、問いをたて、(暫定的な)答えを導き出すことが少しずつできるようになっています。独りよがりな質問を投げてしまったり、配慮が欠けていたり、人の話から多くを汲み取れないなどの失敗はありますが、これらはすべてのフィールドワーカーが経験してきたことです。話を聞きながら、ささっとメモをとり、タイミングをみて質問をする。こういった一連のことが、学生たちは自然にできるようになっており、大きな成長を感じることができました。
以下、学生たちの感想(一部抜粋)を掲載します。
Kさん
ユキパリスコレクションを訪れて、ヨーロッパの刺繍やレースが単なる装飾ではなく、人々の生き方や価値観を映す文化であることを強く感じた。特に印象に残ったのは、ヴィクトリア女王の時代が最も手仕事の華が咲いたといわれる点である。産業革命で機械化が進む一方で、人間の手で生み出される繊細な美が再び価値を持ったことは、「便利さ」と「美しさ」のせめぎ合いの中で、手仕事が人間性の象徴として存在していたことを示しているように思う。
また、ルネッサンス期のイタリアから広がった白糸刺繍が、裕福な人たちの教養や社会的地位を示す手段となったことにも興味を持った。家事をしない女性が、きれいな手で細やかな刺繍を施す姿は、当時の「理想の女性像」そのものであり、刺繍が単なる趣味ではなく「身分を語る文化的表現」だったことがわかる。服の流行とともに新しい技法が生まれ、模様一つひとつに時代の価値観や流行が込められているという話も印象的だった。
さらに、戦争や争いの中で刺繍やレースの技法が世界に広まったという視点も心に残った。悲しい出来事の中にも、手仕事が国境を越えて受け継がれていくのは、人間が「美しさ」を求め続ける存在であるからだと思う。レースハンカチが愛の象徴として贈られたように、針仕事には人の感情や祈りが宿っている。
最後に、ユキさんの「実物を見て買ってもらうことで、作り手と物が喜ぶ」という言葉が印象的だった。大量生産やオンライン販売が主流の今だからこそ、「一点物の出会い」を大切にする姿勢は強く心に響いた。ヨーロッパでは「他人と違うこと」が美徳とされ、自分のこだわりを貫く人が「スタイルのある人」として尊敬されるという話も、日本との価値観の違いを考えさせられた。ユキパリスコレクションを通して、手仕事の美しさは単に形や技法の問題ではなく、「人が何を大切に生きてきたか」を映し出す文化そのものだと感じた。
Mさん
私が一番印象に残ったのは、「刺繍には、すべてに物語や歴史・社会背景がある」というお話です。例えば、シェイクスピアの『オセロー』はハンカチをめぐる物語と聞き、時代背景を知ることもまた手仕事を学ぶ手段だと感じました。ただ美しいと感じるのも良いけれど、〇〇だから良いと思える感性を養うと、作り手の意図を受け止めることができたり、知性を持ち合わせた美を見つけたりできるのだろうと考えました。「骨董市や蚤の市などで、目を引くものは見た瞬間から分かりますか」という質問には、「やっぱり力強くて際立っているものは目を引くし、ひたむきさが伝わる」と答えていただき、手仕事に限らず、日常生活から「見る目」を養っていきたいと考えました。
Mさん
ユキパリスミュージアムを訪れ、人の手で作られたものに宿る温かさや、そこに込められた知恵や工夫を肌で感じることが出来、とても感動しました。ユキパリスさんが、「美しいものを作り出せるのは人間だけ」と仰っていた言葉が特に印象に残っており、当時の人々の手芸、ハンドメイド、裁縫への愛が伝わってきました。展示されていた刺繍やレース、ビーズの作品等は、どれも繊細で時間の積み重ねを感じさせるものであり、単なる装飾品ではなくてその時代や地域の人々の生き方を表している文化そのもののように感じました。
また、ヨーロッパの刺繍やレースは、見たこともない製法があったり、「誰が作ったのか」「どんな思いで作られたのか」という背景があり、それを想像することで作品の奥深さを感じることが出来ました。ユキパリスさんが語られていたように、ヨーロッパの人々が自分の「居場所」を大切にし、そこから生まれるスタイルを持っているという話で、日本でも手仕事を通じて自分らしさとか地域の文化を表現する人がいますが、それは過去を現代に繋げるとても重要な事なのではないかなと思いました。
そして、私が個人的にユキパリスミュージアムで一番目を惹かれたのが、当時のヨーロッパの学生が卒業までに作成していくパッチワークです。作品自体とても細かい刺繍で、様々な柄が刺繍されていて、そこに、学んできたすべてが現れているのはとても良い方法だなと感じました。今までの自分の成果が目に見えて分かるというのはとても重要で、それによって今自分は何が足りていないなということが分かるのでとても良い取り組みだなと感じました。また、それが自分の証明となり、履歴書代わりになると聞いて、興味深かったです。
今回の訪問を通して、モノづくりを単なる技術としてではなく、「感情や記録を繋ぐ行為」として捉える事の大切さを学びました。そして、ユキパリスさんが持つ、みんなと同じようになりたいとは思わず、その反対を行く、自分のスタイルがとてもかっこいいなと感じ、知性を大切にしていきたいと思いました。また、機会があればぜひ行ってみたいと思います。
私がもっとも感動したのは、展示室にびっしりと並べられた刺繍やレースのすべてに対して、ユキさん自身が強い思い入れとともに、豊富な知識をもっておられたことです。また、完成した手芸品の収集だけでなく、道具やサンプラー、スタディクロスも多く展示しており、手仕事に励んでいた人々に思いをはせることができるミュージアムでした。
社会調査Ⅱ(佐藤クラス)では、今回が最後の合同調査でした。これまでの座学と3回の合同調査、各自のフィールドワーク・文献調査を経て、学生のなかには気づきや問いが生まれ、ユキさんに対しても積極的に質問をしている者もいました。目の前にいる人々の語りや、彼らとの対話から、問いをたて、(暫定的な)答えを導き出すことが少しずつできるようになっています。独りよがりな質問を投げてしまったり、配慮が欠けていたり、人の話から多くを汲み取れないなどの失敗はありますが、これらはすべてのフィールドワーカーが経験してきたことです。話を聞きながら、ささっとメモをとり、タイミングをみて質問をする。こういった一連のことが、学生たちは自然にできるようになっており、大きな成長を感じることができました。
以下、学生たちの感想(一部抜粋)を掲載します。
Kさん
ユキパリスコレクションを訪れて、ヨーロッパの刺繍やレースが単なる装飾ではなく、人々の生き方や価値観を映す文化であることを強く感じた。特に印象に残ったのは、ヴィクトリア女王の時代が最も手仕事の華が咲いたといわれる点である。産業革命で機械化が進む一方で、人間の手で生み出される繊細な美が再び価値を持ったことは、「便利さ」と「美しさ」のせめぎ合いの中で、手仕事が人間性の象徴として存在していたことを示しているように思う。
また、ルネッサンス期のイタリアから広がった白糸刺繍が、裕福な人たちの教養や社会的地位を示す手段となったことにも興味を持った。家事をしない女性が、きれいな手で細やかな刺繍を施す姿は、当時の「理想の女性像」そのものであり、刺繍が単なる趣味ではなく「身分を語る文化的表現」だったことがわかる。服の流行とともに新しい技法が生まれ、模様一つひとつに時代の価値観や流行が込められているという話も印象的だった。
さらに、戦争や争いの中で刺繍やレースの技法が世界に広まったという視点も心に残った。悲しい出来事の中にも、手仕事が国境を越えて受け継がれていくのは、人間が「美しさ」を求め続ける存在であるからだと思う。レースハンカチが愛の象徴として贈られたように、針仕事には人の感情や祈りが宿っている。
最後に、ユキさんの「実物を見て買ってもらうことで、作り手と物が喜ぶ」という言葉が印象的だった。大量生産やオンライン販売が主流の今だからこそ、「一点物の出会い」を大切にする姿勢は強く心に響いた。ヨーロッパでは「他人と違うこと」が美徳とされ、自分のこだわりを貫く人が「スタイルのある人」として尊敬されるという話も、日本との価値観の違いを考えさせられた。ユキパリスコレクションを通して、手仕事の美しさは単に形や技法の問題ではなく、「人が何を大切に生きてきたか」を映し出す文化そのものだと感じた。
Mさん
私が一番印象に残ったのは、「刺繍には、すべてに物語や歴史・社会背景がある」というお話です。例えば、シェイクスピアの『オセロー』はハンカチをめぐる物語と聞き、時代背景を知ることもまた手仕事を学ぶ手段だと感じました。ただ美しいと感じるのも良いけれど、〇〇だから良いと思える感性を養うと、作り手の意図を受け止めることができたり、知性を持ち合わせた美を見つけたりできるのだろうと考えました。「骨董市や蚤の市などで、目を引くものは見た瞬間から分かりますか」という質問には、「やっぱり力強くて際立っているものは目を引くし、ひたむきさが伝わる」と答えていただき、手仕事に限らず、日常生活から「見る目」を養っていきたいと考えました。
Mさん
ユキパリスミュージアムを訪れ、人の手で作られたものに宿る温かさや、そこに込められた知恵や工夫を肌で感じることが出来、とても感動しました。ユキパリスさんが、「美しいものを作り出せるのは人間だけ」と仰っていた言葉が特に印象に残っており、当時の人々の手芸、ハンドメイド、裁縫への愛が伝わってきました。展示されていた刺繍やレース、ビーズの作品等は、どれも繊細で時間の積み重ねを感じさせるものであり、単なる装飾品ではなくてその時代や地域の人々の生き方を表している文化そのもののように感じました。
また、ヨーロッパの刺繍やレースは、見たこともない製法があったり、「誰が作ったのか」「どんな思いで作られたのか」という背景があり、それを想像することで作品の奥深さを感じることが出来ました。ユキパリスさんが語られていたように、ヨーロッパの人々が自分の「居場所」を大切にし、そこから生まれるスタイルを持っているという話で、日本でも手仕事を通じて自分らしさとか地域の文化を表現する人がいますが、それは過去を現代に繋げるとても重要な事なのではないかなと思いました。
そして、私が個人的にユキパリスミュージアムで一番目を惹かれたのが、当時のヨーロッパの学生が卒業までに作成していくパッチワークです。作品自体とても細かい刺繍で、様々な柄が刺繍されていて、そこに、学んできたすべてが現れているのはとても良い方法だなと感じました。今までの自分の成果が目に見えて分かるというのはとても重要で、それによって今自分は何が足りていないなということが分かるのでとても良い取り組みだなと感じました。また、それが自分の証明となり、履歴書代わりになると聞いて、興味深かったです。
今回の訪問を通して、モノづくりを単なる技術としてではなく、「感情や記録を繋ぐ行為」として捉える事の大切さを学びました。そして、ユキパリスさんが持つ、みんなと同じようになりたいとは思わず、その反対を行く、自分のスタイルがとてもかっこいいなと感じ、知性を大切にしていきたいと思いました。また、機会があればぜひ行ってみたいと思います。
