【現代社会学部】環境政策ゼミ（諏訪ゼミ）：「温泉地に息づくエネルギー：高山の地熱発電を訪ねて」

　2025年7月31日・8月1日、岐阜県高山市の地熱施設を訪問し、地域との関わりについて学びました。地熱発電に関する事業者説明会への参加、高山市役所でのヒアリング、地熱を活用したドラゴンフルーツ農園の方や発電事業者であるシーエナジーの方々からのお話を通じて、高山市における地熱発電の開発状況を理解することができました。

　特に印象的だったのは、地熱の熱を活用して栽培されているドラゴンフルーツ農園の訪問です。完熟したドラゴンフルーツをその場でいただいたのですが、想像以上に甘く、濃厚な味わいに驚かされました。地熱エネルギーが農業にも応用されていることを実感しました。

　地熱発電は、二酸化炭素排出量が極めて少ないクリーンなエネルギーであり、地球温暖化の抑制に効果的な発電方法の一つです。また、昼夜・天候を問わず24時間連続して発電できるため、自然エネルギーの中でも安定した電源とされています。一方で、日本は地熱資源に恵まれているにもかかわらず、開発には高いリスクとコストが伴い、温泉文化との共存や地域住民との関係構築が求められることから、全国的な普及には課題も残されています。

　こうした背景を踏まえ、今回の現地訪問は、地熱発電開発の現状を把握する貴重な機会となりました。高山市役所でのヒアリングでは、脱炭素先行地域である高山市の再生可能エネルギーに関する取り組みについて学びました。具体的には、高山市の地形を活かした小水力発電の導入や、日本一広い市域を持つことによる地域間の合意形成の難しさについて理解を深めました。

　また、奥飛騨温泉郷の中尾地熱発電所では、発電設備を実際に見学しました。発電所の規模の大きさや、「地域の声」を反映した設備設計について知ることで、地熱発電の奥深さを実感しました。

　今回の訪問を通じて、地熱発電の開発には地域の理解と協力が不可欠であることを学びました。高山市役所でのヒアリングや事業者の方々のお話から、設備導入にあたっては温泉資源との共存や地域住民との対話が重要であると強く感じました。今後、地域とともに進める持続可能なエネルギーの在り方を考えるうえで、非常に有意義な学びとなりました。

（文責：西村萌）