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食物栄養学科

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卒業研究の成果が論文発表されました(食物栄養学科)~TMC4はクロライド味の検出に関与する~

家政学部食物栄養学科4回生の眞砂文さん・村田百さんが実施した卒業研究の成果が論文発表されました(指導教員:食品学第3研究室 成川真隆准教授)。

タイトル:Mouse TMC4 is involved in the detection of chloride taste of salts

著 者:Masataka NARUKAWA*, Aya MASAGO, Momo MURATA, Yoshikazu SAITO, Yoichi KASAHARA, Keiko ABE, Tomiko ASAKURA*        
雑誌名:Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 88, 203-205 (2024)

代表的な塩味物質として塩化ナトリウム(
NaCl)が知られています。塩味の発生にはナトリウムイオン(Na+)が重要ですが、クロライドイオン(Cl-)が他のアニオンに置き換えられたナトリウム塩では、同じ濃度のNaClよりも塩味が弱くなるように、塩味の発生にはNa+Cl-の両者が必要になります。Naの受容機構に関しては検討が進んでいる一方で、Cl-の受容機構は長年不明なままでした。最近、私たちの研究グループは電位依存性クロライドチャネルTransmembrane-like channel 4TMC4)がCl-受容で働くことを見出しました。本研究では、塩味受容おけるTMC4の役割に関するさらなる知見を集めるために、Tmc4欠損マウスを用いて、様々な塩溶液に対する味行動を観察しました。その結果、Tmc4欠損マウスはKClNH4Clなどのクロライド塩に対する感受性が対象群である野生型マウスと比較して大きく低下することがわかりました。この結果は、TMC4が「クロライド味」の検知で役割を果たすことを示唆します。味の受容メカニズムについては多くの知見が蓄積する一方で、塩味の受容に関しては不明な点が多く残されています。今回の成果は塩味の受容メカニズムを明らかにする上で重要な知見になると期待されます。本研究は東京大学、東洋食品研究所、放送大学との共同研究の成果です。