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英語文化コミュニケーション学科

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【英語文化コミュニケーション学科】2026年度新任教員:真鍋晶子先生からのご挨拶

  英語文化コミュニケーション学科教授に着任した真鍋晶子です。私は京都第一日赤で生まれ、幼少期過ごした祖父母の家が西本願寺近くにあり、また、家は秀吉の伏見桃山城址の森の中の一軒家で、豊国廟を頂にする丘に広がるキャンパス、また、キャンパスが私の研究に核心的な世阿弥・観阿弥縁の今熊野にあることなど、土地と人間の繋がりの意識や伝承、ディンヘナハス(dinnsheanchas)を大切にするアイルランド文学を専門にしている身としては、不思議な繋がりに感激しています。京都市立小学校、京教大附属中学・高校、京都大学・大学院、留学先もカリフォルニア州立で教育を受け、その後、30年間滋賀大学勤務と、人生のほとんどを国公立、しかも高校卒業以後は男性が圧倒的に多い環境で過ごしてきたため、私立の女子大という新しい環境に、とてもいい意味でのカルチャーショックの日々です。個々大学には独特の文化・空気が、伝統として引き継がれますが、京女には思いやり、気遣い、優しさと明るさいう人間として肝要なものが漂っていると感じています。それを大切にした上で、私のこれまでの経験を活かして、学生個々が関心を持って追求できる対象を見つけ、それを自分の言葉で世界に発信できる力をつけるお手伝いをしたいと思っています。

 私の専門は、アメリカとアイルランドの文学、最近は、日本の伝統芸能、特に能狂言の欧米モダニズム文学に対する影響について研究しています。アイルランド?と思われる方も多いと思いますが、英国の西にある小さな島です。緑豊かで、人はやさしく、羊がいっぱい、ケルト(ざっくり、古代と考えて下さい)の神話を始め歌・お話に満ちていて、妖精が今も人々の心に生きていて、リヴァーダンスなどの楽しいダンスがあり、黒ビールのギネスや独特のアイリッシュ・ウィスキーにパブの文化と文学・音楽好きには魅力的な国です。でも単にほのぼの楽しいだけの国ではない点が独特の文化を生み出しています。もちろん苦労はない方がいいのですが、アイルランド文化の深みは英国支配による700年にわたる苦難の歴史、自分の文化や言語さえ押さえつけられたことにも起因しています。英国からの独立を求める運動が最高潮に達した時に、詩や演劇によって、アイルランドの心を残そうとした詩人・劇作家ウィリアム・バトラー・イェイツ(William Butler Yeats, 1860-1939)を中心にアメリカにも広がるモダニストたち、そのなかでも詩人エズラ・パウンド(Ezra Pound, 1885-1972)、さらに彼のネットワークで繋がる様々な芸術家を研究の対象としています。特に、イェイツが創作に行き詰まっていた時に、アーネスト・フェノロサ(Ernest Fenollosa, 1853-1908)、パウンドを通して出逢った日本の能楽によって、その演劇や詩学に強烈な影響をうけ、新しい世界を開いたことを私自身のアイデンティティに絡めて追求しています。特に、狂言に関してはあまり扱われてこなかったので、京都の狂言の名家茂山千五郎家の協力を得て、実演を含む研究を続けた結果、狂言がイェイツ研究で国際的に認識されることになりました。演劇は実演が重要ですから、上演の企画運営をして、それを逆にアイルランドに持って行たりもしています。イェイツだけではなく、アイルランド繋がりでラフカディオ・ハーン(Lafcadio Hearn、小泉八雲1850-1904)の作品の狂言化を委嘱して新作上演してもらったり、また、長年の友人でハーンの曾孫小泉凡先生(島根県立大学名誉教授、小泉八雲記念館長)が俳優佐野史郎さん、ギタリスト山本恭司さんと20年以上実施されている小泉朗読の調べの企画運営にもかかわったりと舞台公演の実践も行っています。最近は落語会の企画運営、さらに文楽や歌舞伎関係の方々との繋がりも増やしていっておりますので、京女でも学生のみなさんのアイデアや力で、そのような企画や上演を新たな段階に持っていければと思っています。(真鍋晶子)

  • 茂山千五郎家の狂言師のみなさん、小泉凡先生と筆者(©︎茂山千五郎狂言アイルランド公演実行委員会)