

食物栄養学科
食物栄養学科辻 雅弘教授が栄養・環境が発達期の脳に与える影響とその対策に関する論文を発表
胎児・乳児の脳が悪環境に曝されることによる当人と社会全体における不利益は甚大です。言い換えれば、胎児期・乳児期の環境を良くすることによる利点は計り知れません。一例としては、妊娠初期の偏った食事で葉酸不足となり赤ちゃんが二分脊椎を持って生まれ生涯車いす生活となることが挙げられます。また、そのような顕著な例ではありませんが、妊娠中の体重増加が少ないと赤ちゃんが低体重で生まれる確率が上がり、低出生体重児は標準体重児と比べると平均IQが低く注意欠如多動性障害(ADHD)などの神経発達障害となる可能性が高まります。妊娠前後の食事に気を付けるだけで上記のようなリスクを確実に減らすことができます。しかし現状では、より良い脳の発達のための対策が分かっている問題に対しても、対策は不十分です。具体例としては、上記のような事実を社会に知らせる活動が不十分です。対策がまだ分かっていない問題に対しては、改善策を見つけるための研究費が不十分です。中年期・高齢期の脳の問題に対しては政府も企業も多くの研究費を支出していますが、発達期の脳の問題に対しての研究費は不相応に少額です。以上のような妊婦および妊娠中の食生活・栄養学を取り巻く状況を知って頂くために、食物栄養学科辻 雅弘教授と英国オックスフォード大学Zoltan Molnar教授が、発達期の脳に対する栄養を始めるとする環境の影響と、それらの問題への対応策を総説論文としてまとめ、2025年6月に発表しました。