Follow Us

英語文化コミュニケーション学科

#英語文化コミュニケーション学科

教員の最近の教育活動 佐伯惠子先生

 「Basic Research Seminar I」は、卒論やレポートを英語で書くという目標に向かって1回生が学んでいる必修の科目です。担当教員にはそれぞれ専門分野がありますので、取り上げる素材や指導方法は多様です。私のクラスではアメリカの絵本作家Maurice SendakのWhere the Wild Things Are(『怪獣たちのいるところ』)を一緒に読みました。400語足らずの、絵の比重の大きな絵本です。
 
最初に絵本を原語で読み、ストーリーや主人公の性格やその体験の意味、絵の特徴や色使い、文字と絵の配置の変化など、グループワークの中で気づいたことをどんどん挙げていきます。それらを共有したのち、Sendakについての研究書を英語で6週間かけて読みます。Sendakが絵本作家としてデビューする以前、挿絵作家としての仕事を通じて学んでいったこと、10年近くかけてWhere the Wild Things Areを構想、度重なる書き直しを経て完成に到るまでの工夫と作品の魅力、出版後の図書館関係者、親や教育者、様々な書評、そして子どもたちの反応を知り、最後にコールデコット賞(アメリカで最も権威ある児童書の賞)を受賞した際のスピーチを通して絵本製作についての作者の思いを知ります。
 
研究書については、毎回5つくらいの質問に答える形で、その要約をポータルにあらかじめ書き込んでもらいます。この予習がちょっと大変そうですが、全員が手を抜かずに取り組めるようにしています。授業では上手に要約された受講生の模範解答を紹介して、全体の解説をしていきます。レポートの構成と書き方も学びます。
自分で気づき、クラスメイトと学びあい、作品の背景や研究者の意見も知った上で、いよいよ自分の英文レポート作成に取りかかります。お互いの下書きを読み、意見を交換し、担当教員から返されたコメントも参考にして、最終レポートを完成します。授業の最終回では、自分が書いたレポートの内容を発表し、共有することで理解を深めて総括とします。

今年度の佐伯クラスの「Basic Research Seminar I」は、こんな内容でした。
絵本をじっくりと考えながら読む作業も、英語で書かれた研究書を読みこなす作業も、自分なりの分析や考察を筋道立てて英語で書いていく作業も、新鮮で、学ぶ点が多かったということが受講生の感想から伝わってきました。