Follow Us

新着情報

#ニュース

本学斎藤英俊客員教授 旧富岡製糸場西置繭所の修理・活用プロジェクトで建築学会賞(作品)を受賞

斎藤英俊客員教授は、日本を代表する産業遺産である旧富岡製糸場(群馬県富岡市)の調査や保存に専門家として長年携わっています。このたび、西置繭所(国宝)の保存修理と活用プロジェクトで、「新しい保存思想が国・自治体の関係者や専門家・技術者らによって共有され、高度な水準で具現化されたことは画期的である」として、2022年度日本建築学会賞(作品)を受賞(3名連名)しました。また、同時に2022年度日本建築学会賞(業績)を富岡市などと共に富岡製糸場保存修理委員会(委員長斎藤英俊)も受賞しました。

旧富岡製糸場は明治5年(1872)に官営の模範工場として設立された器械製糸工場です。その後、民間の経営に委ねられ、昭和63年(1987)に操業停止に至ります。現在は開業時の繰糸所などに加え、製糸技術の発展に伴って改築・新築された工場や職員宿舎など100棟あまりが広い敷地に保存されています。平成17年(2005)に施設は富岡市に移り、次いで史跡、重要文化財に指定され、平成26年(2014)には「富岡製糸場と絹産業遺産群」として世界遺産に登録され、同じ年に繰糸所・西置繭所・東置繭所の3棟が国宝に指定されました。

西置繭所は木骨煉瓦造・2階建てで、長さ104.4mに及ぶ建物です。平成26年から始められた保存修理では、文化財としての価値を維持しつつも、産業遺産としての魅力を発信するような活用をめざしました。その2つの要求からくる様々な課題を解決するために、1階には構造補強を兼ねたガラスボックスをはめ込みました。このガラスボックスは、壁に残された台車の傷や作業メモ、落書、古新聞紙など、建物が経てきた長い歴史をガラス越しに鑑賞することを可能とし、また、劣化が進む煉瓦などの部材を保護する膜であると同時に、空調空間を限定して省エネルギーに対応するなど、複合的な役割を担っています。

  • 写真1:旧富岡製糸場全景(手前に西置繭所) 写真2:西置繭所東外観 写真3:ガラス越しに見える歴史の痕跡