二瓶晃先生

PROFILE

家政学部 生活造形学科
二瓶晃先生
Akira Nihei

研究テーマ:ビジュアルデザイン

博士(美術/京都市立芸術大学)。大学在学中より舞台美術家として活動し、大阪成蹊大学芸術学部、福岡女学院大学人文学部准教授等を経て、2022年度より現職。デザイン・美術教育と並行して建築的なオブジェと音響・照明効果や映像で構成されたインスタレーション作品の制作を行う。主な展覧会として「再生花园」(藝倉美術館/上海・中国、2017)、「out of place 2017」(大覚寺/京都、2017年)、「ART MEETS WINTER」(京都新聞ビル/京都、2018年)等がある。

デザインとは? その意味を考え
新しい価値観を生み出す。

ゼミのテーマは、「思索するデザイン」です。取り扱う分野はグラフィックデザイン・タイポグラフィ、装幀・造本、映像・アニメーション、ウェブデザイン、インタラクティブデバイスなど多岐に渡りますが、それらのデザインのための技術を身につける以外にも、文献や資料を読んでデザインの背景にある思想や歴史、意図を考えます。デザインの領域は拡がり続けています。今までの価値観が通じない、複雑な問題の解決にデザイナーは立ち向かわなくてはなりません。だからこそ、デザインを手段として思索と議論の上に新たな問題を提起することには社会的な意義があるのだと思います。

調査・研究とともに、課題制作、展覧会見学、デザイナー講評も。

ゼミではビジュアルデザインをメインに、学生が興味を持った対象や思考方法に合わせて、デザインに加えて近接する領域も含め、幅広く調査・研究しつつ、同時に制作も行っていきます。1年半のゼミの中で、最初は課題制作を行い、デザインワークのために必要な技術を身につけます。平面のデザインだけではなく、動画やネットワークメディアにおけるデザインも視野に入れています。そして、個人の問題意識をベースに文献や資料の調査・分析を通して、現代における「デザインとは何か?」を考察し、卒業研究につなげていきます。その間には、展覧会やデザイン関連施設を見学したり、研究者や現場のデザイナーから講評していただいたりもしています。

めざすのは「巧いデザイン」ではなく、「思索するデザイン」。

ゼミでの研究事例の一つとして「未来のニュース ポストコロナのデザイン」があります。問題の解決法を直線的に導き出すのではなく、クリティカル(批評的)デザインの手法を用いて、深い思索の上に社会に対する疑問を浮き彫りにすることが目的です。ポストコロナといわれる状況の中で、「デザインは何ができるのか」、「デザイナーの役割とは何か」などを改めて問い直す課題研究です。コロナ禍をネガティブに捉えず、デザインの力を借りてポジティブな意識を持つことで、今までにない方向性を探し出していきます。ゼミ生に求めていることは「巧いデザイン」ではありません。表現としての「作品」をつくるのではなく、一般的な価値観を疑いつつ、その背景にある思想・歴史や意義を常に意識してデザインすることを繰り返し伝えています。

自分だけのデザインを構築し、未来をつくる。

ゼミでの最終目標は「デザインを考える」という力を身につけること。そのためにデザインについての知識・技術を身につけ、自身の思考をアウトプットするために必要なスキルも養っていきます。デザインとは本来、解決案を示すことが重要とされてきましたが、複雑な問題を抱えた現代社会においては、デザインを手段として深い思索と討議の上に新たな問題を提起すること(物事の意味を問うこと)も重要な役割となっています。物事をさまざまな視点からみつめ、思索していく力は、社会に出てからも役立つはずです。現代のデザインは驚くほどその領域が拡がり、とても身近なものになりました。だからこそデザインの存在を無自覚に受け入れるという態度ではなく、クリティカルな視点から思考し、学生ならではの多面的・批評的な視野で、自分だけのデザインを構築し、未来をつくっていってもらいたいと思っています。

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