PROFILE
発達教育学部 教育学科 養護・福祉教育学専攻
吉川直人先生
Naoto Yoshikawa
研究テーマ:多死社会のもたらす多様な課題へのアプローチ
修士(社会福祉学)。日本福祉大学院 社会福祉学研究科社会福祉学専攻修了。専門は社会福祉学・介護福祉学。介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士。青森中央短期大学を経て2019年より京都女子大学。多死社会へのアプローチの一つとしての死の対話の場の特徴である多様性に着目し、さらなる発展とネットワークの構築のため研究を続けている。
ゼミ生各自がテーマを掘り下げ、
専門性を培いながら卒業論文をまとめる。
ゼミ生それぞれの関心に応じたテーマを掘り下げ、さまざまな視点から問題解決に向けたアプローチを行います。先行研究の検討を行うための文献講読やデータの検討から、ディスカッションを繰り返して、研究テーマを取りまく動向を把握し、自らのテーマを掘り下げ、仮説を立て、適切な研究手法を検討・検証していきます。随時、研究成果の確認、共有も行います。また、医療・福祉など、専門分野をおもちの方をゲストとして招き、異なる専門性に触れ、自らのテーマを掘り下げる試みも行います。自分のテーマと直接・間接にかかわる知のフィールドに触れることで、自らの引き出しを増やすことにもつながります。インプットとアウトプットを繰り返し、知識を深め、専門性を培っていきます。
ゼミ生の興味関心に寄り添い、研究を見守る。
ゼミにおいては、養護教諭、社会福祉士をめざす学生が対象のため、教育・福祉の観点から、各自の興味関心に寄り添って、各自の研究を見守っています。私自身は現代社会のキーワードの一つである「多死社会」を主要なテーマに研究に取り組んでいます。多死社会では、医療、介護、地域・社会の変化といった課題に対して個々人が向き合うことが求められます。このテーマは、死のフィールドの多様性、専門性に基づくアプローチの違いがあり、より深く向き合う価値があります。誰もが当事者でありながら、語りにくく、ハードルがある問題だからこそ、自分ごととして考えるためには仕掛けや工夫が必要となると思っています。
個人の研究テーマは「多死社会へのアプローチとしての死の対話」
現在の研究テーマは「多死社会へのアプローチとしての死の対話」です。多死社会においては、葬送、医療、介護、終末期、地域・社会の変化に個々人がどのように向き合うかが問われる時代です。アプローチの一つとして、死の対話があります。医療、福祉、宗教、葬儀関係など、さまざまな死のフィールドを持つ人が開く死の対話と、自発的な交流の場として集まる人々にもたらす効果と可能性について、研究に取り組んでいます。この研究の調査、発信を行うことにより、新たな死の対話の場が国内各地で広まるなどの進展を見せています。つながりや癒しや学びを得ることのできる、新たな社会資源の生成になることを期待しています。また、異なるフィールドをもつ人たちが、それぞれの実践を参考に、自らのフィールドに持ち帰ることができるような連携の機会をつくることができればと考えています。
多様性を認め、共生社会を生きるための方法を考えたい。
ゼミ生には幅広い視野を身につけてほしいと願っています。コロナ禍の激変する社会において、自らの軸となるものを身につけ、社会の変化に対応するためには、自ら考え、主体的に行動することが重要だと思います。周囲の人との協力、協調を行いながら、学びを深めていってほしいです。そうして得た知識のすべてを役立てる機会は、すぐには巡ってこないかもしれません。しかし、自らの引き出しを多くもつことで、それぞれの現場で壁に当たった時に選択肢を複数提示できることになるでしょう。複雑化する社会の中で、多様性を認め、共生社会を生きるための方法を一緒に考えていきたいと思います。