PROFILE

発達教育学部 教育学科 教育学専攻学科
落合利佳先生
Rika Ochiai

研究テーマ:障がい児医学

京都府立医科大学医学部卒業。京都府立医科大学大学院修了。医学博士。京都府内の保健所や専門機関での発達相談や診療、京都市営保育所で障がい児保育巡回指導なども行っています。専門は障がい児医学。特別支援学校教員養成に携って11年目になる。

子どもの発達の課題に早期に気づき、
適切な育ちの環境を考える

コミュニケーションや社会性、行動面に課題がある場合、要求、拒否や援助要請などの適切な表出が困難であったり、自己制御が難しいことがあります。また、家族や関係者が本人の抱えている困り感に気付きにくい場合もあります。スムーズな学校や社会生活の適応を促すために、このような特性のある子どもたちを早期に発見し、環境を整え継続した支援を行っていく必要があります。研究では、意思表示が上手にできず集団生活で困り感を抱えている就学前の発達障がい児を中心に、保育現場での実態調査や社会性や人物画の発達について、医療機関や保育所・幼稚園などの施設と連携して研究を行っています。

「正解」は一つではないからこそ、自分で考える。

子どもに関連して研究や支援を行う場合には、子ども自身の評価だけでなく、家庭や学校など周りの環境も含め、多角的な視野からの分析やアプローチが欠かせません。実際に、障がいのある子どもに対して支援や学習指導、教材開発、環境調整を行う場合には知能検査や行動観察などで評価を行います。理屈や理論など机上だけで話をすすめないように子どもを取り巻く社会の現状(家庭、教育、福祉、医療など)を意識することも大切です。そこに、学生自身がこれまでに経験してきたこと、見聞きした事柄が生きてきます。そうした経験から出てきた疑問や課題を、学術的な疑問に発展させるのがゼミだと言えるでしょう。ゼミでは、自由な討論をしやすいように、一人ひとりの意見を大切にし、肯定的で受容的な雰囲気で行っています。また、時にはあえて「正解」を明示しない、「正解」は一つではないことから、「自分で考える」ことを意識的に行ってもらいます。

本人が抱えているしんどさに気づくことが大事。

私自身は知的な遅れのない発達障がい児の社会性に関する研究を行っています。主に就学前の集団で、自分の気持ち(特に「困った」、「手伝って」、「いや」)を人に伝えることが苦手な児童が対象です。この年齢は児童だけでなく幼稚園や保育所の担任や保護者とも距離が近く、集団活動への介入もしやすいです。このようなコミュニケーションや社会性に特徴のある子どもは、時に集団の中で目立たなく、適応しているようにみえ、周囲が気づきにくく支援が行き届きにくい傾向にあります。実際には、大人しく人に言われるがまま行動したり、我慢をしたりしている場合もあり、本人自身は困り感やしんどさを抱えていることが多いです。このような子どもたちの課題に周囲の大人が早期に気づき、自分の思いを出しやすくする支援をしていくことで、大人になった時に、仕事や家庭生活でのストレスを抱え込みすぎないように、少しでも生きやすくなるお手伝いができればと考えています。

思いやりを大切にした関係づくり。

子どもを対象として考えることで、自分自身の自己認知と自己開示、自助の能力も伸びていきます。同時に、多角的視野と分析力、清濁混在している情報を取捨選択し、正しい選択をする力も養われていくでしょう。また、ゼミの仲間とともに、自分たちで課題を見つけ出し、忖度なく自分の意見や考えを話すようになれると、将来さまざまな立場にある人を思いやれる人として社会で活躍すると信じています。私のゼミで学んだ学生たちは、これから出会う多くの人たちに対し、世の中に受け入れられている、居場所があると感じてもらえる関係づくりができるのではないでしょうか。ゼミ生には、思いやりの気持ちを大切に、自分の信念を裏切らない生き方をしてほしいと願っています。

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