PROFILE

法学部
松塚 晋輔先生
Matsuzuka shinsuke

研究テーマ:公法学

1990年名古屋大学法学部卒業。1992年法学修士、1995年博士(法学/九州大学)。2006年修士(行政学/ドイツ・シュパイアー行政科学大学)。久留米大学法学部、保健医療経営大学保健医療経営学部等を経て2011年より現職。

法学が、行政や政治を
読み解くキーワードとなる。

昨今、ディーゼルエンジン車の違法な排ガス規制逃れや、燃費性能のごまかし、違法な完成検査が大規模なリコールや補償支払いを引き起こした件など、自動車検査にまつわるスキャンダルが発生しています。航空エンジン不正検査の例まであります。自動車そのものや、ドライバーを含む国民の安全を確保するために、資格を有する検査員によって自動車検査が実施されることになっているにもかかわらず、なぜ基準をパスしないはずの自動車が市場に出回ってしまったのでしょうか。ずさんな検査体制が、もしどこでも起こり得るのだとしたら、検査の制度自体に欠陥があるわけで、改善が急がれます。このような制度の探求は、行政法学の役割です。

行政法が社会に果たす役割。

適正な自動車検査員が適正な検査をしていない自動車が市場に出回ってしまったという、民間の車両検査の不正スキャンダル。これは行政法的に関心の対象となりますし、スキャンダルを発生させない法的仕組みが必要と思われます。
これまで私は検査を担当する民間の指定機関・認証機関と損害賠償の関係について追究し、指定機関が検査、検定、試験を行う際の加害行為にかかる国家賠償請求の可能性をテーマとして論文を発表してきました。賠償リスクを避けるため、指定機関などの民間企業はリスク回避のための事前措置を講じます。賠償問題の適正な解決や処理は、企業の法令遵守を促す機能を持っているのです。

自ら考えて対応する力をつける。

ゼミでは生活に身近な、幅広いテーマを取り上げています。例えば、「通園させている保育所を廃止された保護者は裁判所に救済を求めることができるか」、「ウサギは環境訴訟の原告となり得るか」など。学生は、こうした課題について、事前に私が用意した資料のほか本人が必要と感じれば自身で調査資料を加えて、事実の概要、判旨、解説、まとめと私見、という形で報告をします。10分間でパワーポイントなどを利用して発表した後、ゼミのメンバーからの質問にも答えます。
発表内容が乏しいと感じた場合は率直に報告者に伝えますが、否定することはしません。すでに自身で、内容が良くなかったことは認識できているはずですから。ゼミを通して、論理的に考える力を身につけると同時に、個人で発表し、自身で対応する力も身につけてもらいたいと考えています。

将来、差がつく学びを。

法学部には公務員を目指す学生も多く、また公務員試験の中の行政法問題は法学についての理解にもつながることから、授業時間の一部を公務員試験の過去問解説にあて、学生たちの知識の底上げを図っています。実践的な知識の吸収時間ともなりますし、何らかの法律試験で役立ってくれればと考えます。
2回生のゼミということもあり、学生の進歩成長はゆっくりです。しかし、聞きなれない行政法のキーワードや考え方を注視し、よくノートをとってくれています。卒業時にはこれらの概念や思考を活用できるようになっているでしょう。こうしたキーワードは、行政や政治を読み解くものでもあります。在学時に学び理解しておくことが、社会に出てから大きな差となるでしょう。

  • 就職支援
  • 京女の就活力