PROFILE

家政学部 生活造形学科
鶴岡典慶先生
Noriyoshi Tsuruoka

研究テーマ:日本の伝統建築の構造技法、伝統技術

関西大学工学部建築学科卒業、関西大学大学院工学研究科中退。京都府教育庁文化財保護課にて文化財建造物の専門技師として京都府内の国宝・重要文化財の保存修理などに従事。2020年から現職。

建物や設計者について
調査・発表し、
専門知識と見識力を養う。

私は、京都で長年にわたって国宝や重要文化財など歴史的建造物の保存に携わってきました。専門は日本建築史・文化財修復です。文化財の保存修理は建物を単に直すだけでなく、調査でさまざまな新発見や技法解明ができる貴重な機会であり、実務環境は最先端の建築史研究の場でもありました。ゼミでは、各自が興味をもった古い建築や町並みなどについて調査して発表し、ゼミ内で相互に討論しながら専門知識と見識力を養っていきます。研究室の特長は、実際の建物や町並みへ出向き、過去と現在がつながる空間を体感することを重要視しています。そうすることで建物に刻まれたさまざまな歴史が見えてきて、興味と親しみがぐっと増します。

実際の建築を見て、調査する体験が大切。

ゼミの指導では、私自身が経験した事例を報告書や資料で伝えたり、実際の遺物や道具を示したりすることで、建物や歴史を身近に感じてもらえるように工夫しています。ゼミでは、まず興味のあるものについて文献などの資料から基礎的な情報を習得し、その後実際に建物の見学や調査を行い、自ら研究したいものを見つけ出すように進めています。これまでの研究事例では、教会建築の研究をしたいと思った学生がさまざまな教会を実際に見て回っていく中で、膨大な量の建築関連資料を保管している教会に巡り合い、その資料分析や検討を行って研究成果としてまとめました。研究の題材にたどり着くまでの不安と苦労は大きかったと思いますが、根気強く探し求めたことが大きな成果につながりました。

将来のまちづくりや地域活性化に貢献。

日本には、農村、漁村、山村、城下町、宿場町など個性豊かな景観を持つ古い町並みが数多くありましたが、ここ数十年の間で生活環境の変化や大量生産・大量消費型の建築生産と需要への移行により、地域特有の町並みの多くが失われてしまいました。こうした中、最近では地域振興の核として歴史的建造物や町並みが注目され、これらを観光や町おこしに役立てようとする動きが活発に進められるようになっています。歴史的建造物などの調査研究では、その地域の歴史的・文化的な特徴を明らかにすることができて、将来のまちづくりや地域活性化に貢献できます。

過去を学ぶことは、未来をつくる推進力に。

建築史や伝統技法の授業を通じて、地域の特性を理解する洞察力や自然環境との共存意識を身につけてほしいと思っています。歴史的建造物を調べることで、その地域の歴史にも興味をもつようになることは少なくありません。例えば、西洋建築への興味から神戸の異人館を調べ、そして異人館の建設経緯や修理の履歴を知り、さらに阪神淡路大震災の被災へとつながり、今の神戸の景観の歴史が理解できるようになったことがあります。過去を学ぶことは、未来をつくる大きな推進力になります。この研究室で培った力が、これからのまちづくりや環境保護の取り組みなどに生かしてもらえることを期待しています。

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