PROFILE

発達教育学部 教育学科 養護・福祉教育学専攻
大川尚子先生
Naoko Okawa

研究テーマ:養護教諭教育、学校保健、健康教育

兵庫教育大学連合学校教育学研究科教科教育実践学専攻修了。博士(学校教育学)。大阪府枚方市の小学校で18年間養護教諭として勤務した後、関西女子短期大学准教授、関西福祉科学大学教授などを経て、2019年より現職。『養護教諭のための現代ニーズに対応した養護学概論-理論と実践-』『改訂養護実習ハンドブック』などの著書がある。

研究成果を分かち合い、
養護教諭に有用な
専門知識を深める。

ゼミの学生のほとんどが養護教諭をめざしています。そのため、子どもたちが自分で健康の保持増進を図ることができる能力の育成に、養護教諭としてどう支援できるかを最終目標に研究を進めていきます。そのテーマは「幼稚園の保健活動」「睡眠と疲労」「養護教諭の職務」「不登校・保健室登校」「避妊・性感染症」「食物アレルギー」「食生活と心身の健康」「生活習慣と自律神経」「褒められ経験と自尊感情」など、さまざま。卒業論文をまとめる過程で、お互いの研究成果を分かち合いながら専門的知識を深めています。また、同じ夢を持ったゼミ生が多いからこそ、卒業後も現場で悩んだ時、辛くなった時の相談場所として、お互いに支え合える関係も築いています。

養護教諭に対する意識の高いゼミ生たち。

ゼミの学生たちは先行文献を読み進め、研究の動向を把握しながら、各自が興味をもっているテーマについて仮説を立て、女子大学生を中心に質問紙調査を実施して分析し仮説を検証していきます。学生同士でその研究成果を分かち合うことで、養護教諭として有用なより多くの専門的知識が深まります。ゼミ生の養護教諭に対する意識の高さが、ゼミだけではなく学科の中の養護教諭をめざしている学生全体の養護教諭になりたい気持ちを高めてくれています。実際に、学科全体の教員採用試験対策においてもゼミ生が中心となって、毎日のように採用試験対策を行ってくれました。こうした学びを生かして、卒業後も自己研鑽を重ねてくれると思います。

学校現場の養護教諭と連携して研究。

私自身の現在の研究テーマは「児童生徒に対する睡眠と疲労の客観的健康評価を活用した不登校予防に関する研究」です。自律神経機能解析や睡眠覚醒リズム解析といった客観的な評価法を活用し、不登校や体調不良に結びつく自覚症状や睡眠・自律神経機能などの客観的な指標の詳細な特徴を明らかにしています。この研究は、学校現場の養護教諭のご協力なしには進みません。今までに、大阪府柏原市、滋賀県大津市、和歌山県和歌山市、香川県丸亀市などの養護教諭部会の先生方のご協力のもと、多くの児童生徒の睡眠や疲労の調査を実施してきました。その結果、睡眠状態や自律神経機能評価が心身の疲労状態と深く結びついていることがわかってきました。客観的な健康指標を明らかにするだけでなく、予防プログラムの開発にも取り組んでいます。

「チーム学校」の中で活躍できる養護教諭を養成。

養護・福祉教育学専攻では、養護教諭の免許、中学校・高等学校(保健)の教諭免許、社会福祉士の受験資格、スクールソーシャルワーカーなどの資格取得が可能です。養護教諭は、教育学はもちろん、医学や看護学の知識を活かして保健室経営をし、福祉学や心理学の知識を生かして子どもの心に寄り添いながら支援します。また、子どもの健康課題は複雑・多様化しており、家庭や地域と連携して「チーム学校」として対応することが求められています。子どもたちの心と体を支援し「チーム学校」の中で活躍できる養護教諭、子どもたちの健康と成長を支えるための力量と実践力を持った養護教諭として巣立つことを願っています。

  • 就職支援
  • 京女の就活力