PROFILE

法学部 法学科
南野佳代先生
Kayo Minamino

研究テーマ:ジェンダーと法、法社会学

京都大学大学院法学研究科博士後期課程基礎法学専攻 ミシガン大学ロースクール研究員(博士後期課程在学中)、京都大学法学部助手(同退学後)、京都女子大学現代社会学部講師を経て現職。共著に『法曹継続教育の国際比較——ジェンダーから問う司法』などがある。

卒業研究を進める過程で、
幅広い力が鍛えられる。

ゼミには、労働、人権、家族、子どもの人権などに関わるジェンダー問題と、司法制度に関心の高い学生が多く所属しています。ジェンダー法は法学の中でも応用分野であり、研究は難しいのですが、それだけやりがいもあり、実力を身につけることができると言えるでしょう。実力とは、問題意識をもって社会を観察し、そこに法的ルールと社会のルールとがどのように影響し合っているのかを分析し、問題の所在を突き止め、解決を考える力のこと。考える過程でインプットする力はもちろん、ゼミの授業時間内でお互いに質問し合ったり助言し合ったり議論をすることで思考を深め、表現力やアウトプットする力も修得していくことになります。

フェミニズム法学の視点から、より良い法制度をめざして。

もともとは法社会学専攻で、研究の中でフェミニズム法学に出合いました。20歳頃、「憲法に書いてあることはなぜ実現されていないのか」という素朴な疑問を抱いていました。特に、「法の下の平等」と書いてあるけれど、性差別は厳然として存在しているし、多くの人々がそのことを当たり前のように受け入れて生活していることに疑問を感じていました。「人としての尊厳は生まれ持った性別で格差がつけられて良いはずはない」、「人としての尊さを守ることを価値としている法制度が十全に機能していないのだとすれば、それはなぜなのかを知りたい」と思ったのです。現在、強い関心があるのは、フェミニズム法学の視点から、法制度を批判的に——つまり、より良くすることをめざして——研究することです。

議論を通して質疑応答や意見表明の力を養う。

ゼミでは、学生同士が話し合う場をつくることを重視しているため、ニュースを取り上げるなどして、議論の時間を多くとるよう配慮。質疑応答や意見表明など議論する力は、経験値に伴って質も向上していくため、さまざまな見解を表明し、受け止め、話し合いながら内容を発展させていくことを大切にしています。また、各自の自主的な発言を促すため、司会進行は学生に担当してもらいます。そして、私自身は最後に発言し、考慮すべき事項や別の論点を提示することを心がけ、決まった「答え」を探すのではなく、多様な視点から考え続ける姿勢の獲得をめざしています。

個人の尊厳を守り、誰も取り残さない社会に貢献する力。

卒業研究やゼミを通して、問題を発見し、その原因を探求し、現状をよりよく変える解決策を探る柔軟な思考と、根拠を示して論理的に伝える発信力、異なる意見を尊重しながら議論する力を身につけてもらえると思っています。法の根源的価値理念である個人の尊厳という原点を自分の中に確立すること。それは、社会人として、経済活動においても、地域活動においても、家庭活動においても、人(自他)を尊重し、協力して問題解決する礎となります。それはまた、「誰も取り残さない」ために、ひとりひとりがつながり合い支え合う要でもあります。

  • 就職支援
  • 京女の就活力