PROFILE

文学部 史学科
小林瑞穂先生
Mizuho Kobayashi

研究テーマ:日本近現代史

明治大学大学院博士後期課程修了、博士(史学)。専門は日本近現代史。明治大学文学部専任助手、明治大学文学部兼任講師を経て、2019年より現職。著書に『戦間期における日本海軍水路部の研究』。

日本の近現代史の中から
何を、どう取り上げてテーマとするか。

私のゼミでは、主に明治維新から1970年代くらいまでを対象とした日本近現代史を研究しています。学生が関心を持つテーマは政治、外交、軍事、経済、文化などさまざまです。私自身は日本海軍にあった「水路部」という組織を中心に研究。軍と民間の双方に対して重要業務を担っていたにも関わらず、なぜあまり知られていないのかと疑問に思ったことが研究の発端です。世界との関わりが活発になり、複雑化する近現代の歴史の中から、何をどう取り上げて研究テーマとするか? それについてどう考えるのか? 歴史学の研究からは知識、分析力、調査力が得られることに加え、現代の私たちへの教訓や、課題を解決するヒントも得られるのです。

水路部から海運の発展や対外関係を考察。

水路部とは主に海の測量と海図などの図誌類の作成を担った機関です。海軍のみならず民間にも海図を供給していました。日本は海に囲まれた島国である以上、海の情報はとても重要です。海図がなければ安全に航海することができず、海軍の場合は作戦の立案と遂行に関わる重要な情報源となります。水路部について調べていくと、日本海軍の軍事思想や、日本海運界の発展、日本の対外関係などが複雑に影響していることがわかります。研究を通じて、少しでも「このような歴史がある」、「この視点から考えることができる」ということを伝え、これまでの先行研究とは異なる日本海軍の姿を考察していきたいと考えています。

卒業論文提出まで、ステップを踏んで学ぶ。

3回生のゼミでは、卒業論文に取り組む準備として、どのような日本近現代史の研究があるのかを知るために、学術論文を全員で読むことから始めます。内容の正確な理解、要点の把握、論文を読んで浮かんだ疑問について考える作業を通して、歴史研究とは何かを学び、各自が卒業論文のテーマと研究課題を設定します。後期には、ゼミ生が交替で卒業論文の構想を報告。その際、自分はどう考えるか、オリジナリティはどこなのか、研究することの意味についても考え、教員とゼミ生たちのアドバイスを取り入れながら、テーマと研究課題の修正や補強を行います。4回生のゼミでは3回生の段階で考えた卒業論文の構想をベースに、各自で史料調査を進め、教員やゼミ生とのディスカッションを繰り返しながら、卒業論文を執筆していきます。

「基本」を大切にしつつも、「当たり前」を疑って。

私のゼミでは、特に「基本」を大切にします。わからない用語や説明できない部分がある場合はそのままにせず、一つひとつを丁寧に調べるように指導。また、「当たり前」とされることに対しても「なぜだろう」、「どうして?」という疑問を大切にしてほしいと思います。さらに、自分の興味関心のある分野以外にもアンテナを張り巡らせ、さまざまな知識を柔軟に吸収してほしい。一見、関係ないように思われる知識であっても、意外なところで研究に役立つ場合があります。歴史学の研究からは、調査する力や分析する力が養われるだけでなく、現代の私たちへの教訓、課題を解決するヒントが得られます。そしてそれは、未来を予測する手がかりにもつながります。

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