PROFILE

家政学部 食物栄養学科
松尾道憲先生
Michinori Matsuo

研究テーマ:病気が起こるメカニズムと病気を予防、治療するための方法の研究

京都大学大学院農学研究科修了、博士(農学)。オックスフォード大学博士研究員、京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻助教などを経て現職。腸内細菌や食品によるコレステロールの除去や神経機能の制御、ビタミンの体内での輸送の解明をめざして研究を進めている。

世界中の人たちの
病気の治療や予防につながる研究。

私は主にコレステロールやさまざまな物質(ビタミン、薬剤など)を運ぶタンパク質について研究しています。そこから発展して、脳の中の脂質と神経の研究、食品成分や腸内細菌の健康への効果の研究などにも取り組んでいます。具体的には、培養細胞を用いてコレステロールの輸送、炎症、神経突起伸長を調べ、さらにそれらに対する食品成分、腸内細菌由来成分などの効果について実験しながら調査・分析。食品企業との共同研究もしています。まだ誰も知らないことを研究しているため、困難にぶつかることもありますが、その成果は世界中の人たちの病気の治療や予防につながる点が大きな魅力です。

食品企業との共同研究も実施。

栄養は人や細胞が生きていくために欠かせない基本要素の一つです。その中でも私の研究テーマであるタンパク質は栄養分の体内輸送で重要な役割を果たしています。また、近年は「腸活」という言葉を見聞きするようになりましたが、腸内フローラの果たす役割についても実験や調査を行っています。こうした研究は、これまで知られてこなかったさまざまな体内の現象について、その働きの謎を解き明かす実験系の学問分野です。私は学生たちと一緒に毎日細胞を培養したり、機器を使って測定したり、最先端の研究を実施。現在、食品企業との共同研究も行っており、ある乳製品の成分の健康に対する効果(動脈硬化症を予防する効果)を調べています。

心疾患や脳血管疾患の減少に貢献したい。

日本人の死因の1位はがんですが、心疾患と脳血管疾患の割合を合わせるとがんと肩を並べるほどであり、中でも動脈硬化症は社会的問題にもなっています。動脈硬化性疾患を引き起こす背景には、食生活の変化とともにメタボリックシンドロームが増加したことがあります。また、高齢化社会を迎えた現在、アルツハイマー病などの神経変性疾患も急速に増加しています。私の研究室で行っている研究は、動脈硬化性疾患や神経変性疾患の予防や治療に貢献できる、今まさに日本で求められている研究といっても過言ではないでしょう。

一生を支える力を大学時代に養う。

英語で情報を得て情報発信できる力や、既にわかっていることを勉強するのでなく、わかっていないこと、未知のことについて学ぶ力を身につけてほしいと思います。これらは新しいことに挑戦する力にもつながりますし、将来、栄養や保健、薬学などといった分野に進めば、知識は直接役立ちます。しかし、専門性の高い知識自体は必要のない分野に進んだとしても、問題が起きた時に論理的に考え、解決法を導き出し、実行できる力は、皆さんの一生を支える力となるに違いありません。

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