PROFILE

文学部 英文学科
松原史典先生
Fuminori Matsubara

研究テーマ:統語理論研究(生成文法理論研究)と語法文法研究

博士(文学)。日本大学生物資源科学部講師、高知大学教育学部准教授・教授を経て、現職。近代英語協会第8回新人賞佳作受賞。2014年には日本英語学会賞「新人賞」の論文査読審査委員を担当。現在、日本英語学会評議員、実用英語技能検定((財)日本英語検定協会主催)の二次試験面接委員を務めている。

英語を通して普遍的な文法を
 科学的に分析し、言語を学ぶ。

私たちが言葉を話す時、脳の中でどのように文を組み立てているのでしょうか? その際、どのような規則や原理が関係しているのでしょうか? こうした疑問を解明することは、言語獲得の謎を解明する手がかりとなります。こうした普遍文法を探求するのが私の研究テーマ。ゼミでは、生成文法理論を理解するために、英語の句・文の内部構造を分析しながら、語・句の移動現象や主要な構文の構造と派生を分析します。洋書のテキストや論文を熟読し、その内容についてゼミ生全員で議論しながら理解を深めていきます。4回生では、学修した生成文法理論を用いて、さまざまな文法現象を科学的に解明していきます。

ネイティブスピーカーの脳の中を探り、理解する。

ゼミでは、アメリカの言語学者であるノーム・チョムスキーが提唱する生成文法理論を学習し、この理論を用いてさまざまな文法現象を科学的に検証していきます。生成文法理論を習得すれば、ネイティブスピーカーが脳の中でどのように文を組み立て、どのように文を文法的または非文法的であると判断しているのかが理論的に説明されます。言語現象にはすべて理論的な理由があることがわかります。ゼミ生に繰り返し話すのは、「ゼミとは高度な専門的知識を身につける場です。医学部で例えると、自分が進むべき科(外科、内科、耳鼻科、眼科など)に該当し、自らがいかに専門的知識と経験を積み重ねていくかが問われます。ゼミで学ぶ内容についてしっかりと学習しないと、治療方法を熟知していない医者になってしまいます。予習・復習を欠かさず、英語に対して情熱をもって勉強してほしい。また、勉強面だけでなく、社会人として自分の人間性を磨くことも大事です」ということ。

議論する力やプレゼンテーション能力も養う。

人間には、視覚、聴覚などの能力と同じように、言語をつかさどる能力が生得的・遺伝的に備わっています。また、人間は、有限の情報量から、新たな文を無限に生み出すことができます。このような人間特有の言語能力が、脳の中でどのように具現化されるのかを解明することは、言語獲得の謎を解き明かすことになります。実際にゼミ生は、英文テキストを読み進めながら、その内容や専門用語を学んでいきます。授業ごとに指定されたページ数の分量を予習し、専門用語については事前に調べ、その内容について授業内で発表・意見交換しながら、ゼミ生同士で議論をすることになります。こうした過程を通して、ゼミ生は、自分で考えること、自分の意見をまとめ、問題提起をすること、他者に自分の意見・考えを伝えること、他者からの質問に回答すること、といったプレゼンテーション能力を養うことができます。同時に、他者に自分の意見や説明を理解してもらうには、何が必要かを考える良い機会となります。

理論を学び、考えることは生涯役に立つ力に。

先にも述べましたが、ゼミを通じて自分の考えや意見を相手に伝え、相手と建設的に意見交換できるプレゼンテーション能力とコミュニケーション能力が養われると思っています。実際に、理論を学ぶことにより、物事をうまく整理し、順序だてて説明・発表できるようになっていきます。また、当たり前のことを、なぜそうなるのかと疑い・考え、問題提起することを促し、疑問に思ったことは積極的に手を挙げて質問し、理解できるまで議論を続けるという姿勢が身についていきます。こうしたことは、就職活動はもちろん、就職後の企画立案、営業、接客のどの分野の業務であっても役に立つ能力だと言えます。

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