PROFILE

家政学部 食物栄養学科
横山佳子先生
Keiko Yokoyama

研究テーマ:微生物学、公衆栄養学

名古屋大学大学院医学研究科博士課程修了。博士(医学)、管理栄養士。国立感染症研究所細菌第二部流動研究員を経て、2003年4月より本学に勤務。『知る! わかる! 身につく!! 公衆栄養学』『Visual 栄養学テキスト 食べ物と健康Ⅲ 食品衛生学 食品の安全と衛生管理』などの著書がある。

食環境に分布する細菌と
高校生の食事をテーマに
研究を進める。

私は指導者、研究者でもありますが、京女の食物学科(現 食物栄養学科)で学んだOGの一人でもあります。「微生物学」の授業を受けたことがきっかけで「目に見えないのに一生懸命生きている」微生物についてもっと知りたい、細菌について研究したいという興味・関心につき動かされて現在に至っています。これまで特に食中毒や感染症を起こす、ヒトに有害な細菌を中心に研究してきました。ゼミでは、食品や環境に分布している細菌の性質や微生物制御などの食品衛生学的な研究と、高校生を対象にした食事や生活習慣に関する調査研究を行っています。実験・実習の機会が多く、時には大変な思いをすることもあると思いますが、管理栄養士免許証を手にした時には大きな達成感が得られるでしょう。

根気と継続性を身につけながら実験・調査を行う。

食環境に分布する細菌を中心とした研究では、食環境における薬剤耐性菌(抗生物質が効かない菌)の分布状況や食肉や野菜、惣菜、カット野菜などの食品、あるいは食器用スポンジ、台所シンクといった台所環境にはどのような細菌が分布しているのかを調べ、細菌汚染状況の把握と衛生管理について検討しています。細菌はある程度増殖しないと実験に使えないため、培養の時間が必要です。5日間でひとサイクルの実験が終わるようなスケジュールで、平日は毎日、大学の実験室で実験を進めます。加えて、主に高校生を対象として食事内容や生活習慣の現状を調査し、高校生の食事内容についての分析。300名ほどの調査用紙を取り扱い、データ入力や統計学的な解析を実施していきます。どちらのテーマもコツコツと着実な研究が欠かせず、学生には「根気と継続性が必要」であることを伝えています。

衛生管理や食育につながるテーマで社会貢献。

薬剤耐性菌対策は世界的にも取り組みを強化している内容であり、ヒト・動物・環境のそれぞれの分野で研究が進行中です。食環境はまさにヒト・動物・環境の3つの分野が交わる部分。食環境の中でもヒトにとって生活の基盤である家庭、特に台所環境における薬剤耐性菌の分布については、ほとんど研究報告がありません。在宅介護がさらに増加することが予想される日本で、家庭内での薬剤耐性菌の分布を明らかにし、対策を考察することは家庭における衛生管理に応用できると考えています。また、高校生の食事・生活習慣に関する研究については調査結果をフィードバックすることで、自分の食事や生活習慣の状況を知り、少しずつ良い方向に改善をしていくきっかけづくりになるように食育の視点も踏まえながら情報提供を行っています。

卒業後も役立つ分析力、考察力が培われる。

ゼミでの活動を通して、根気や継続性以外にも、実験や調査で得られたデータをさまざまな角度から分析できるような力が養成されていきます。卒業論文を作成する過程では、研究データをさまざまな形式の図表に起こして、そこから傾向を読み取って結果を考察する力を身につけることができるでしょう。このような力は、管理栄養士の免許取得に役立つだけでなく、卒業後、仕事をしていく上で大切な力になると思っています。

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