PROFILE

発達教育学部 心理学科
下津咲絵先生
Sakie Shimotsu

研究テーマ:臨床心理学、認知行動療法

早稲田大学大学院人間科学研究科修了。国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部研究員、九州保健福祉大学社会福祉学部専任講師、龍谷大学保健管理センター、神戸山手大学現代社会学部准教授などを経て、2015年より本学発達教育学部心理学科准教授、2021年より現職。公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士などの資格をもつ。

こころの健康に関する
臨床心理学をテーマに
調査・実験を行う。

精神的問題からの回復への支援法の一つに「認知行動療法」というものがあります。ものごとに対する捉え方や考え方である「認知」や、ふるまいや習慣といった「行動」に焦点を当てる支援法です。こころの健康に関する心理学的支援法はさまざまあり、学問上は臨床心理学の領域に属しています。私自身は認知行動療法を中心に、精神疾患に対するスティグマ(偏見)や援助要請(援助を求めること)に関する研究などにも携わっています。ゼミには臨床心理学に関心のある学生が集まっており、各自が研究テーマを定め、調査や実験を行って卒業論文にまとめます。その過程では、考える力や主体性はもちろん、助け合いの力も伸びていきます。

グループでの助け合いの力を発揮できる場に。

3回生では関心のあるテーマの先行研究(学術論文)をゼミ内で発表し議論します。4回生では自身の卒業論文のテーマについて質問紙調査や実験を通してデータをとり、それを解析し卒業論文を書き上げます。2年間を通して、主体的な学びを促すために、学生の興味を広げるよう文献や情報を提供し、学生が主体的に何かをした時にはフィードバックを怠らないようにしています。ゼミというグループでの助け合いの力をはぐくむことができる学びの環境を提供することを一番に考えています。そのため、各自の発表の後に必ず全員が発表者にフィードバックをすること、意見を出し合うこと、他の人の良い点を真似ること、などを促しています。公認心理師をめざす学生たちが、実際に心理師として現場で活躍するようになった時に本学での学びが役に立っていたら、それは大きな社会への還元になると考えています。

臨床活動と研究活動の成果をゼミで活用。

目の前のクライエントさんの問題の解決や適応的な生活に役に立つことを、私自身の臨床活動ではめざしています。認知行動療法に基づいた支援を実践し、またその効果についてエビデンス(明らかにされているメカニズムや理論、どういった支援法がどのような問題や症状に有効なのか)を示すということが仕事上のテーマの一つです。その臨床活動を支えるのが研究活動で、自身の研究テーマとして継続しているのは「精神疾患患者のもつセルフスティグマ」です。精神疾患は未だに社会的な偏見やスティグマが根強く、そのために精神的な問題を抱えることに対して本人自身もセルフスティグマを抱きやすく、そのことが問題や疾患からの回復の妨げになることが研究によって示されています。そのようなセルフスティグマの低減について研究しています。こうした活動で得られた成果をもとに、最新で適切な教育を行うことを心がけています。

お互いにフィードバックしながら高め合う。

学生には、①客観的な視点で考えることができる力、②主体的に疑問や意見をもつこと、③その疑問や意見を適切に相手に伝える力、を身につけてほしいと思っています。実際に2年間のゼミを通して、各自のテーマ以外の研究や難しい内容の研究についても興味深く聞き、それについての意見も述べてくれるようになっていってきます。また、お互いにフィードバックしていく中で褒められることも多く、自信がついていく学生さんもいます。さまざまな意見や思いを言葉にすることが促進され、相手の良い部分を探して見習うなど、お互いが高め合うようなグループになっていると思います。

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