PROFILE

文学部 史学科
谷口 淳一先生
Taniguchi Junichi

研究テーマ:イスラーム圏の歴史

1995年京都大学博士後期文学研究科単位取得満期退学、博士(文学/京都大学)。1996年京都大学専任講師、1999年京都女子大学助教授に就任。以後、同大助教授、准教授を経て2011年に文学部教授に就任し、現在に至る。専門は東洋史。特に、前近代におけるイスラーム知識人および学問について研究する。

 大きな好奇心を抱えて、
遠い国の歴史を旅しよう。 

イスラームと聞くと、テロや戦争をイメージする人が多いかもしれません。しかし、マスコミが伝えるのはイスラーム世界のほんの一部。実際は、想像以上に多様で豊かです。また、イスラーム教は、東南アジアで最もポピュラーな宗教。京都の観光地では、ヒジャブと呼ばれる布を被った女性を見かけることも増えてきました。このゼミには、そんな「未知なるもの」を恐れるのではなく、好奇心をもって立ち向かう、そんな学生が集まっています。異文化を理解することは、グローバル時代を生き抜く上で必須の力であり、さらに日本の文化、そして未来を考える上で大きな示唆を与えてくれるはずです。

ヒジャブに隠された瞳の輝きに目を凝らす。

このゼミでは、中東や西アジア、東南アジアなどイスラーム教を信仰する国々の歴史を研究しています。イスラーム教といえば、日本人には馴染みのない遠い異国の宗教であり、本当の姿を知る人は多くありません。ただ、それだけに、未知の世界がもつ謎めいた魅力があります。たとえば、イスラーム教を信仰する女性は今も、ヒジャブで頭や顔を覆って暮らしています。現代の日本人には、奇妙な習慣と映るかもしれません。しかし、彼女たちには、顔を覆うべき確かな理由があるはずです。それを理解するためには、千年を超えるイスラームの歴史からひも解く必要があります。どんな小さな窓からでも、好奇心をもって覗きこめば、あなたと同じ人間たちの豊かな物語がつづられているはずです。

遠い国の文化や歴史が教えてくれること。

イスラームの話をすると、多くの学生は当初、中東などでは女性が差別されており、日本の方が平等な社会だと言います。確かに、イスラーム社会に女性差別は存在します。しかし、日本の女性たちはどうでしょうか? あなたは、中東の女性たちに比べて平等な社会に生きていると言い切れるでしょうか? 実は、イスラーム社会にも女性を解放しようとする運動は存在します。また、日本よりも先に女性参政権を勝ち取った国もある。歴史に目を凝らせば、これまで見えなかったものが見えてきます。さらに、日本とは大きく異なる文化の理解は、私たち自身の社会や歴史を見直すきっかけを与えてくれます。ゼミの仲間との活発な議論を通して、イスラームという遠い国を身近に感じてください。同時に、世界の中での日本の価値や課題に気づいてほしいです。

自分だけの発見が、歴史を学ぶ醍醐味。

研究テーマは、生活習慣や文化、政治、経済、戦争など、イスラーム社会に関することなら何でもかまいません。あなたの好奇心をくすぐるテーマを選び、そこからイスラームの芳醇な世界への理解を深めてほしい。研究は、論文や文献を読み込み、それをレポートにまとめ、メンバーの前で発表する形で進んでいきます。文献については、日本語あるいは英語に翻訳されたものが揃っていますので、アラビア語が読めなくても心配いりません。それよりも大切なのは、与えられた情報を鵜呑みにせず、つねに疑問をもつことです。常識とされているものを一度、疑ってみる。そして、なるべく多くの文献や情報ソースにあたり、歴史の真実に迫っていく。そこにはきっと、自分だけの新たな発見があるはずです。それこそが歴史を学ぶ醍醐味であり、多様な情報から本質を見抜く力はきっと、社会人としての将来に必ず役立つでしょう。

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