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食物栄養学科

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卒業研究の成果が論文発表されました(食物栄養学科)~唾液腺と味覚の関係 苦味認識における顎下腺の重要性~

 家政学部食物栄養学科4回生松原由伎乃さん、馬野玲実さん、修士課程1年村田百さん、成川真隆准教授らの研究成果が論文発表されました。

タイトル:Submandibular gland removal decreases avoidance of bitter taste in mice
著 者:Masataka NARUKAWA*, Yukino MATSUHARA, Remi UMANO, Momo MURATA, Ippei WATARI, Takashi ONO, and Takumi MISAKA
雑誌名:American Journal of Physiology. Regulatory, Integrative and Comparative Physiology, 328, R300-R305 (2025)

現在、私たちの研究グループでは、味を感じる仕組みにおける唾液の役割について検討を進めています。唾液は主に耳下腺・顎下腺・舌下腺という
3つの大きな唾液腺から分泌されます。本研究では、それぞれの唾液腺が味の感じ方にどのように関わるのかを明らかにするため、各唾液腺を除去したマウスを用いて、味に対する行動の変化を観察しました。その結果、耳下腺や舌下腺を除去したマウスでは味の感じ方に大きな変化は見られませんでした。しかし、顎下腺を除去したマウスでは、苦味溶液に対する嫌がる行動(忌避行動)が大幅に減少していることが分かりました。これは、顎下腺が「苦味を感じる仕組み」で重要な役割を果たしている可能性を示唆しています。シェーグレン症候群などの疾患では、唾液の分泌が減少し、それに伴い味覚が低下するといわれています。本研究の結果は、唾液が味覚にどのように関与しているのかを理解する上で重要な手がかりとなると期待されます。なお、本研究は東京大学、東京科学大学との共同研究による成果です。