PROFILE

発達教育学部 教育学科 教育学専攻
岩槻 知也先生
Iwatsuki Tomoya

研究テーマ:社会教育学・生涯学習論

大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程中退後、大阪大学人間科学部助手、京都女子大学発達教育学部准教授、ランカスター大学リテラシー研究センター客員研究員を経て、現職。博士(人間科学)・大阪大学。

地域の関わりを交えた
生涯にわたる「教育」を考える。

「教育」といえば「学校」を思い浮かべる人が多いかもしれません。もちろん学校教育は重要ですが、教育とは、決して学校だけで行われるものではないのです。また、学齢期だけのものでもなく、成人期や高齢期に至るまで、生涯にわたって継続される営みでもあります。私がこれまでに携わってきた「社会教育」の研究は、学校外の地域社会で行われている様々な教育の営みを対象としています。地域の子ども会やガールスカウト活動の意義、公民館・図書館・博物館等の社会教育施設のあり方、子どもの遊び環境や高齢者の社会参加に果たす学習の役割など、その内容はきわめて多岐にわたります。

地域の「つながり」と教育の関係。

社会教育の分野では、地域のさまざまな社会教育施設に加えて、そこに暮らす人々も重要な教育の担い手と捉えます。地域の人々の「つながり」の中で、人は学び合い、育ち合うのです。よく「地域で子どもを育てる」といった言葉が使われるのも、この表れだと思います。例えば地域の子ども会や子育て支援の活動を通して、子どもはもちろん、活動に関わる保護者や近隣の大人同士がつながれば、そこに多様な人間関係が生まれ、豊かな学び合いが起こります。
「孤独死」や「密室の育児」など、人々の「社会的孤立」に起因する問題が生じている今、地域のつながりの希薄化を懸念する研究者も多くいます。こうした状況のもとで、息苦しい「しがらみ」のない、ゆるやかな「地域のつながり」をいかに再生していくのか。この大きな課題の達成に向けて、社会教育の活動や研究が果たす役割は今後ますます重要になると予想しています。

現場での経験からわかることがある。

ゼミでは、関連文献を読んで仲間と議論することを通して、時間をかけて学生自身の関心を掘り起こし、探究テーマを絞り込みます。研究の方法には、既存の文献を読み込んで内容を整理・再検討する方法もあれば、アンケート調査をしたり、実際に活動が展開されている現場に赴いて観察やインタビューを行う方法もあります。私のゼミでは、できるだけ現場に出向いて調査するよう指導しています。なぜなら現場では、既存の文献やインターネット上の情報からは得られない生(なま)の現実を体験できるからです。現地調査を通して活動に携わっておられる多様な方々と出会い、卒業研究という枠を超えるような貴重な学びをも経験してほしいと願っています。

生涯の力となる「自分で考える力」。

授業やゼミを通じて「自分で考える力」を身につけてほしいと思います。解決すべき課題を自ら見つけ、それに関する情報を収集・吟味した上で取捨選択し、解決への道を論理的に考える…こうした「自分で考える力」は、生涯、役に立つはずです。加えて、「教育」を学校という空間に閉じ込めず、より広い視野から眺める「クセ」をつけてもらいたいと考えています。とりわけ学校の教員をめざす人には、学校教育の現実を別の角度から見つめ直す経験を積み、多様な視点をもった懐の深い教員となってくれることを期待します。また、教員以外の進路に進む人には、家庭や職場、地域等で営まれている日々の生活の中にある教育の問題について深く考え、積極的に行動できる人になってほしいと願っています。

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