PROFILE

発達教育学部 教育学科 教育学専攻
大橋奈希左先生
Nagisa Ohashi

研究テーマ:ダンス教育・体育科教育・身体論・女性の身体・女性教員のキャリア形成

博士(教育学)。広島大学教育学部教科教育学科体育教育学専修卒業後、筑波大学大学院博士課程体育科学研究科単位取得満期退学。新潟県の上越教育大学にて、21年間におよび現職教員の研修と教員養成に関わる。2018年4月京都女子大学着任。大学院発達教育研究科表現文化専攻運動・舞踊担当。創作舞踊部顧問。

興味をもてるテーマをみつけ、
卒業論文に取り組む。

ゼミ生のほとんどが小学校・幼稚園の教員をめざしており、ゼミでは体育の授業づくりや子どもたちの身体・女性の身体、教員としてのキャリア形成などについて学ぶ機会を提供しています。卒業論文は、自分で問いを立てるところからはじめ、研究方法を設定して答えを見つけていく貴重な学びの機会です。ゼミ生それぞれが、ずっと考えていられるくらい自分が興味をもてるテーマを選んで取り組んでいます。小学校の体育の教材づくりや苦手な子どもへの対応、ダンスやスポーツのこと、女性の痩せ願望やダイエット、女性の働き方など、テーマはさまざまです。自分の卒業論文についてゼミで発表したり、仲間と対話したりすることを通して、自身の考えも広がり、深まっていきます。

子どもをしっかり見つめ、寄り添える教員をめざしてほしい。

私自身の研究の専門は、体育哲学です。「体育」は学校の教科の一つでもありますが、「体を育てる」と読むと、教育の基盤にある重要な営みであることがみえてきます。子どもが生まれた時から、「這えば立て、立てば歩めの親心」ということわざのように、親は子どもの身体を見つめ、微笑みかけ、話しかけ、成長を見守ります。ゼミ生たちにも、子どもの身体をしっかり観察することの重要性を伝えています。子どもは言葉で嘘をつくことがあっても、身体は正直だと思っています。子どものことをしっかり見つめ、理解して寄り添える教員をめざしてほしいと願っています。2021年度は、卒業論文で表現運動の指導をテーマに進めているゼミ生がいたことから、附属小学校の運動会に向けて5年生のダンスの振り付けをさせていただきました。ゼミ生自身が考え、子どもたちと一緒にダンスをつくっていくプロセスは貴重な体験になったと思います。

2021年度 運動会 構成表(PDF)

将来を見通して、夢をかなえていくという姿勢が重要。

学生に伝えておきたいのは「女性の身体について学んでおくことの重要性」です。自分の学びを深め、広げて、仕事を続けていこうとするとあっという間に、5年、10年経っています。ライフワークバランスを考えながら、将来を見通して、夢をかなえていくという姿勢が重要です。中学校、高等学校の保健で「月経」や「妊娠・出産」について学びますが、重要なことが抜け落ちています。「卵子は胎児のときにつくられ、生まれてからつくられることはないということ」「卵子は老化するので、年齢が高くなるにつれて妊娠・出産の可能性が低くなっていくということ」です。独身で趣味を満喫する人生も、パートナーと仲良く過ごす人生も素敵ですし、子どももいる人生もよいでしょう。いろいろな可能性を自身で選択するために、知らずに後悔することがないように、学生のうちにしっかり知識を身につけておけるように支援したいと考えています。

目標をもって、学び続けながら進んでほしい。

教員志望のゼミ生たちは、仲間とともに主体的に準備をすることができており、教員採用試験に合格し、自分の夢をかなえています。4回生は、自分が採用試験に合格するための準備に使った問題集や作成したノートと合わせて、自身の経験をゼミの後輩に伝えるためのメッセージを毎年残していってくれています。自分の夢をかなえたら終わりではなくて、周囲のゼミの仲間のことを思いやり、自分の気づいたことを伝えていこうとする「先に生まれた者としての優しさ」に、ゼミ生たちの成長を感じています。また、「未来の女性教員の働き方」プロジェクトとして、2020年度には前任校の卒業生、修了生そして学生時代の後輩にもお願いして、「5年後の私」「10年後の私」「20年後の私」をイメージする活動も行いました。「教員」は、未来をつくる仕事であり、ひとりひとりの子どもの育ちゆくプロセスを見守ることができる幸せな職業です。また、自分がパートナーと家庭を築き、子どもを育てることが、仕事にも良い影響や豊かさを与えてくれます。ゼミ生たちには、さまざまな活動を通して、いつも夢と目標をもって、将来の自分をイメージし、学び続けながら進んでいってほしいと願っています。

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