PROFILE

家政学部 生活造形学科
前川正実先生
Masami Maekawa

研究テーマ:デザイン方法論、ソーシャルデザイン、ユーザインタフェースデザイン、プロダクトデザイン

千葉大学工学部工業意匠学科卒業。株式会社島津製作所にてプロダクトとユーザインタフェースのデザイナーを経て、株式会社操作デザイン設計代表取締役。和歌山大学システム工学研究科博士後期課程デザイン科学専攻修了、博士(工学)。北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科特任准教授を経て2018年から現職。

新しいアイデアを基に
全体最適をめざしたデザインを。

ゼミのテーマは、私たちにとって望ましい事物を考案し、実現する方法です。デザインは外見だけを指すものではありません。幸せに生きるために私たちは多種多様な事物をつくり出しますが、つくる前に、それらにどのような機能・外観・利用方法・意味が備わるべきか十分に調べて考える必要があります。誰にとって、どんな時に、どんな場で望ましいのか、そしてその望ましい状態は、他者にとってはどのように作用するのか、といったことまで考慮に入れる必要があります。これからの社会では、部分最適ではなく全体最適化をめざすことが特に重要です。皆さんの新しいアイデアを具体的な形や企画にする方法を学びませんか?

イベントやコミュニティ活動にも応用できる。

ゼミでは、望ましい事物を具体化するためのアイデアを出して検討を重ねて絞り込み、プロトタイプや概略計画を作成・評価する一連のデザイン活動についての理論と方法を学びます。主な4項目を挙げます。

  1. 新たな製品やサービスを生み出すための探索的な調査
    テーマに関係する利用現場を訪問し、観察などでデータを収集します。
  2. 調査結果の分析
    問題発見と課題設定をするため、調査で得たデータをユーザーの作業や行動の流れ、価値の循環などの観点で可視化します。 ユーザー本人も気づいていない潜在ニーズが発見されたりしますし、情報と自分の記憶や認識を交えることによって新たなアイデアが発想されやすくなります。
  3. アイデアの発散と収束をする手法や検討を深める議論
    諸制約を勘案して事物の要件を導出する手法やファシリテーターの役割など。
  4. プロセスを効果的に行うための方法論
    形のあるものだけでなく、イベントやコミュニティ活動などの幅広い事物の創造に応用するための知識と態度。

失敗を恐れず、新しいことにチャレンジする姿勢。

デザイン活動とは、実現すべき機能を明らかにしてその実現手段のかたちや動きを決定することです。イラストを描いたり模型をつくったりする以前に、ユーザーや顧客となる他者の利用状況や評価の観点などを理解するための調査と分析が必要です。プロセス状況テーブル、ブレインストーミング、人間中心設計やプロダクト・サービス・システムズなどのデザイン上流過程で有効な手法と考え方の修得、さらに、新たな手法や理論の開発につながる研究は、ゼミ生が卒業後にどのような分野に進んでも活用できるものです。また、「仮説的推論」とも呼ばれるアブダクションを学ぶことの実践は、失敗から学ぶことを繰り返して解を得ようとする姿勢を養います。新しいことにチャレンジするならば失敗は付き物ですし、失敗を恐れていては結果がどうなるかわからない新たなアイデアを実行できません。ゼミでの実践は、失敗を恐れない姿勢を身につけることにつながります。

潜在ニーズを発見し、これに応える「ものごと」を創るための幅広い能力を養う。

社会には複雑な問題が数多くあります。また、多くの人が気づいていない潜在ニーズへの対応も重要なテーマです。こうした問題へのデザイン能力の適用が、いま求められています。例えば、デザイナーの可視化する力は、メンバー間の情報共有に加え、議論の焦点を定め、アイデアの評価を容易にし、さらに深い思考を促すといった効果があり、幅広い分野の議論や意思決定の場で活用できるものです。デザインを学ぶことによって、創造力はもちろん、批判的思考や多面的な見方、他者への共感力、新テクノロジーを理解し応用する力など、いわゆる21世紀型スキルを中心とした幅広い能力を養うことができます。

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