PROFILE

家政学部 生活造形学科
是永 美樹先生
Korenaga Miki

研究テーマ:都市計画・建築計画、建築意匠

東京工業大学建築学科卒業、同大学院社会開発工学専攻修了。AMO設計事務所勤務の後、東京工業大学建築学専攻助手、同大学助教を経て、2018年から現職。博士(工学)、一級建築士。著書『マカオの空間遺産—観光都市の形成と居住環境』(萌文社)ほか。

 歴史ある京都の地で、
独自の発想に基づいて考え抜く。 

魅力に満ちた京都の地。ゼミでは京都近郊のまちづくりの調査や、伝統的な建築のエッセンスから現代の建築デザインへの可能性を探っていきたいと考えています。現在、プレゼミでは、京都駅南側に位置する近郊農村の一つであった東九条地域に残る、江戸中期から明治中期に建てられた農家住宅の調査や、京都と伏見を結ぶ竹田街道のお散歩マップを作製しているところ。今後も、京都近郊の農村だった地域に関する調査を進めていく計画です。また伝統的な建築における空間の仕切り方や座る場所のつくられ方が、現代の建築にどのように応用されているのかなどについても研究しています。

歴史と現代生活を共存させ、再構築する研究。

私はこれまで都市の研究、特にマカオ特別行政区の調査を行ってきました。マカオは、16世紀後半に始まったポルトガル人による都市開発と中国系住民の居住形態が重なって、複雑な都市が形成されています。また、歴史的な空間遺産は観光資源であると同時に市民生活の場ともなっています。このような共存を支える都市空間の仕組みや、歴史的な建造物を観光だけでなく市民生活に活用する手法などの研究を進め、これからのまちづくりに応用していもらいたいと思っています。
さらに、建築の設計手法についても研究しています。例えば、空間を仕切るのは壁や屋根だけではなく、段差や建具など様々な要素の重ね合わせによって、隣同士の空間が切り離されているように、あるいはつながっているように感じます。こうした「境界」は日本の伝統的な建築に慣習的に取り入れられてきた手法で、それらを現代の住まい方にあわせて再解釈することで、多様な空間を創り出せるのではないかと考えています。

徹底的に調査し、オリジナリティを創出。

学生が取り組むことになる卒業設計も、設計テーマの根拠となる社会的背景や地域的な課題をいかに発見し、それをデザインでどう解決するかというチャレンジです。今年度は、京都にあるブランドショップの店舗ファサードの設計手法、生産施設のリノベーション手法や公的なサービス機能を併設した地方都市の駅空間の構成などに取り組みました。設計テーマに関連する設計手法の研究や、設計の背景となるまちづくりの事例調査をしたうえで取り組むよう指導しています。各自のテーマに即した事例を50件以上収集し、共通の視点や考え方を理解すると同時に、個性的な特徴を整理。発想力を養って、オリジナリティのあるアイデアの創出につなげます。

建築の専門家に求められる、考え抜く姿勢。

現実社会で建築関係の業務に携わると、多くの困難に直面します。答えは一つではありません。多くの建築の事例やこれまでの建築家の考え方を参考にしながら、建築の専門家として現代の社会を読み解き、ふさわしい建築像を提示することが求められます。そのためゼミでは問題について学生が各々に考え、なぜその考えが良いと思ったのかを建築的、都市的な着眼点から議論します。その考えに至った根拠や、その答えにどのような価値があるのかなど多方面から検証し、最終的に一つの答えに到達できるような思考力を身につけてもらいたいと思っています。学生には、「考えぬくこと」や「考えきる」ことの楽しさを学んでほしいと思います。

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