PROFILE

文学部 英文学科
ジョン カンベル ラーセン先生
JOHN Campbell-Larsen

研究テーマ:言語学

Bachelor of Arts. English Literature University of Newcastle upon Tyne, UK.  Master of Arts. TESOL University of Birmingham. U.K. スコットランド生まれ。幼少期にイングランドへ移住。22年前に来日し、西日本を中心にして英語教育に携わる。研究テーマは会話分析。Discourse Markers and Interactional Questions: Making Conversations More Authentic(KOTESOL Proceedings 2016: Shaping the Future with 21st Century Skills)等、日本の英語教育に関連する論文を多数発表。

 言葉の力はコミュニケーションの
可能性を無限に広げる。

会話のなかで、言葉自体の意味を超えて話し手が伝えたいことを理解できるのはなぜか。例を挙げると、昼時に大学内で友だちに会い「お昼食べた?」と言われたら、きっと誘われていると思うのでは?このような言葉の裏にある意図に注目して研究する学問を語用論といいます。そしてその一分野である会話分析は、実際に交わされる言葉を詳細に記録して発言の順番や会話の進行への影響などを分析・研究する学問です。意識してなくても私たちはあるルールや手続きを元に会話を組み立てています。そこから自然な英会話に何が必要かわかり、日本の英語教育の進むべき方向性も見えてくる。なかなか面白い分野だと思います。

自然な会話をつくる「談話標識」を知っていますか?

友だちとの会話はどのように行われているか考えたことはありますか?なんとなく?流れで?…あまり気に留めたことはないでしょう。それでも会話では交替で話すものの、一度に一人しか話さないというのは、考えてみると不思議な現象なのかもしれません。ではどのように相手の話が終わりそうだとわかるのか、次は誰が話す番だとわかるのか、会話分析はそのような会話のなかの秩序やルールに着目しています。日本語で話をする時「えーと」「うーんと」などの言葉を無意識に使っていますよね。このようなフレーズを談話標識といい、考え中であることや、話はまだ続くことを相手に伝えています。英語でもwell, I meanなどよく使います。日本人学生は英文法をとても気にしますが、談話標識はあまり知りません。しかし自然な会話は談話標識があるから成り立つとも言えるのです。

会話を分析することで、社会や文化が見えてくる。

学生は会話中にand so onを「など」の意味でよく使っています。これは英語では書き言葉で話し言葉ではありません。会話ではsomething like thatの方が自然で、今の話が終わるので次の人が話してくださいという意味があります。こういうことがわかってくると、学生の英会話もだんだん自然になります。私のゼミは会話分析が専門で、談話標識の役割も扱います。学生はYou Tubeなどから会話のデータを取り、一語ずつ細かく記録します。談話標識は、外国語コミュニケーションを学ぶ上での要となるものです。会話のなかに規則的に現れる言葉から、発話者が作り出す状況や行為の行方などが明らかになるとともに、社会構造なども垣間見えます。会話分析の研究によって、英語学の体系的理論と実践的な会話能力の双方を獲得することをめざしています。

文法や発音より重要なことが研究対象!

ゼミ研究では分析したデータからセオリーを説明します。例えば店で「これは幾ら?」といえば、情報が欲しいだけ。でも学生と話す時「週末は何をしましたか?」と聞けば、会話をしたいという意味です。この簡単な会話から深い意味が発見できる。日本語の会話中「英語が上手ですね」と言ったら、「いいえとんでもない」。つまり拒否の言葉です。英語では「ありがとう、長く勉強している。難しいけどだんだんわかるようになって…」と説明します。リアクションが違いますね。留学先でコミュニケーションの問題が起きる場合、それは文法でも発音の問題でもありません。会話分析で原因がわかったという学生もいます。談話標識などは英語習得のビギナーにも知ってほしい重要なこと。英語教育に携わりたいという人なども、研究を生かしてぜひその分野で力を発揮してほしいです。

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