PROFILE

発達教育学部 教育学科 養護・福祉教育学専攻
鈴木 依子先生
Suzuki Yoriko

研究テーマ:ソーシャルワーク・対人援助法

1985年日本女子大学大学院文学研究科社会福祉学専攻博士課程前期修了。専門は、高齢期における社会関係。特に中高年期の女性の主観的幸福感において、その生き方や友人との関係について研究。近年は、教育分野における福祉ニーズに着目し、子どもの貧困や虐待問題に対する、中高年期の女性の社会貢献に関する研究も進めている。

 「困った子」でなく「困っている子」、
福祉の視点で眺めると、学校も違って見える。 

遅刻してくる子、授業に集中できない子、宿題をやってこない子などは、学校では『困った子』に一括りにされがちです。しかし福祉の立場では、そうした子どもたちを『困っている子』と捉えます。家庭の貧困や親の無関心、いじめ、あるいは発達障害など、その子が困っている要因を探り、家庭や学校、地域をつなぎ改善を図るのがスクールソーシャルワーカーの仕事です。このゼミでは、学校だけでなく医療や介護など多様な分野で、福祉の視点から支援できることについて考えます。研究テーマは、あなた自身の経験と将来のキャリアプランに基づいて決めてください。身近なところにきっと、支援を必要とする人がいるはずです。

どこかで誰かが、支援の手を待っています。

このゼミでは、生活のさまざまな場面で、生きづらさや生活しづらさを感じている人たちを、福祉の観点からどう支援していけるか、具体的な手法も含めて研究しています。学生のゼミ研究が本格的に始まるのは3回生から。卒論を書くことが前提となるため、まずは論文の構成や書き方、先行論文の収集方法、研究計画の立て方など論文作成の基本について学びます。同時に、これまでの対人援助に関するさまざまな研究論文について、一人ひとり異なる視点から調べ、ゼミ生同士で発表し合いながら「対人援助」に関する知識を広げていきます。その過程で関心をもったことをベースに、個々人の卒業論文のテーマにつながる研究対象を見つけていきます。

研究テーマは、卒業後の自分に必要なこと。

研究の対象は、対人援助に関してあなたの興味や経験を踏まえ自由に決めることができます。ただ、あなたのまわりで援助を必要としている人、あるいは将来の仕事で関係するかもしれない人たちなど、自分が身近に感じるところから見つけてほしい。自分自身の将来のキャリアやライフデザインについて考え、その準備をするのも、このゼミの目的の1つだからです。例えば、あなたが養護教員をめざすのであれば、貧困やいじめ、障害などさまざまな要因で行き場を失っている子どもたちについて。もし社会福祉士として福祉の分野で活躍したいなら、それぞれの現場が抱える課題について考えてみる。さらに、一般企業や行政機関への就職を希望している場合であれば、過労死やジェンダーなどの今日的な問題に挑戦してみても良いでしょう。今、あらゆる領域で福祉の視点が求められています。

小さな一歩が、社会を変えるきっかけに!

調査の過程では、学外でアンケートを取ったり、関係者の方々にインタビューするなど、現場に出向いて情報を収集することもあります。先輩のなかには、母校の中学校の生徒に食育に関するアンケートをとり、食事と親子関係に関する調査をした学生がいました。また、盲導犬と一緒に生活する人たちのお話を聞いて、盲導犬の必要性を説きながら、社会がそれを受け入れるための方策について提言をまとめた学生もいます。こうした研究成果をゼミのなかで発表しあうことで、さまざまな社会の課題や福祉のあり方に関する考え方を学生間で共有し、視野を広げることができます。大切なのは、問題意識をもつことです。たとえ小さくとも、それが社会は変えるきっかけになります。少なくとも、あなた自身の意識を変えることができるはずです。

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