PROFILE

発達教育学部 心理学科
岩原 昭彦先生
Iwahara Akihiko

研究テーマ:心理学の医療応用

2002年名古屋大学博士後期 人間情報情報学研究科単位取得満期退学、博士(心理学/名古屋大学)。 樟蔭東女子短期大学専任講師、助教授を経て、2009年に和歌山県立医科大学保健看護学部准教授に就任。その後、現職に至る。神経心理学、健康心理学を主な研究分野とする。

 医療現場に心理学を活用し、
健康増進をサポート。 

親世代の人が「若い頃とは違って物覚えが悪くなって…」と残念そうにこぼしているのを、一度ならず聞いたことがあるのではないでしょうか。人は、年齢を重ねるにつれて認知機能が低下していくものです。しかしなかには、若者と同じように認知力の高い年配者がいます。かたや、早々に認知症になってしまう人もいます。おそらくは誰もが、「できれば若い頃のような状態を保ちたい」と願っているはずなのに、この違いは何が原因で起こっているのでしょうか。どうすれば認知機能の低下を防ぐことができるのでしょうか。

心理学的な知見か認知症予防を考える。

私は、心理学の医療応用である《神経心理学》と《健康心理学》を研究テーマとしています。心理学の医療応用というと、《臨床心理学》である“こころのカウンセリング”を連想しがちですが、生活の改善だったり、健康の増進だったりということにも、心理学は関わってくるのです。
認知機能が低下する例で説明するなら、加齢や、運動不足や食生活の問題といった悪しき生活習慣の影響で血流が悪くなって神経脱落が起こるなど、神経の変化に着目して認知機能がどうなっているのかを調べていくのが《神経心理学》。生活習慣を改善するのが健康に良いとわかっていても行動に移せない人たちに、どうやって健康志向をもたせて行動を変えていくかを考えるのが《健康心理学》です。

心理学が健康な毎日のためにできること。

ゼミでは、「心理学を医療に生かす」という課題のもと、ふたつのテーマを掲げています。ひとつは、「人々の健康増進やウェルビーイング(より良い状態)を保つためには心理学として何ができるのか」を考えていくというもの。もうひとつは認知の問題に絞り、「認知の個人差は何に起因して、より良い認知機能の維持のために心理学としてどのような支援ができるのか」を探っていくというものです。例えばある学生は、月経前症候群といわれる女性の月経の前後に生じる不快感、不調について、どういった生活習慣や心理的な特性と関係しているのかを調べています。あるいは、ストレスマネージメントの研究をしている学生もいます。個々に関心のあるテーマについて学生それぞれに研究している現状です。

科学的思考力が社会で生きる力となる。

ゼミを通して学生たちは科学的な調査研究のスタイルを身につけます。それまで授業のなかで学んできた測定法、統計、研究法をゼミで実践していくのです。 どのような研究テーマであれ、まずは文献を読み解き、自分なりにきっちりと問題設定をして理論的な前提を立て、データをとって検証し、理科学的な思考に基づいて考察していきます。研究計画もデータを取る方法も、まずは自分で考えるよう指導しています。将来的に心理学の可能性を追求する道に進むのであれ、一般企業の就職するのであれ、こうした一連の思考のプロセスを、しっかりと学び取って自分のものにしておくことは、大きな力になります。ゼミでの研究によって大いに成長し、それを社会に活用してほしいですね。

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