事務局長メッセージ

学園の発展を支える中期経営計画

事務局長 吉川大栄

事務局長 吉川大栄

 現在、京都女子学園では2020年に定めた京都女子学園の基本理念に基づく諸改革を進めています。私立学校を取り巻く環境が一層厳しさを増す中で、将来にわたり、仏教精神に根差した教育を行う女子教育機関として、社会におけるプレゼンスを高めることが目的です。
しかし、現状は女子教育機関にとって決して良い経営環境とは言えないことは近時の女子大学の学生募集停止の報道からみても明らかです。対象を女子のみに限定した経営モデルは予測を上回る少子化のなかで不利であるとよく言われますが、女性のリーダーシップの育成や自己肯定感の醸成、ジェンダーギャップの是正が時代的な要請であることに鑑みれば、女子に特化した教育機関への期待は大きく、学園としてはその期待に応えることが最も重要な使命であると考えています。同時に、この目標を達成するためには、安定した財政基盤の確立を含めた中期的計画の策定と、その計画を確実に実行する組織作りが課題であると認識しています。
私立学校における中期的計画は、安定的な事業継続の確保の観点から私立学校法において策定が義務付けられています。本学園における運営に関する中期的計画は、平成28(2016)年度に示した中期経営計画策定にかかる基本方針が最初となります。同計画は、平成27(2015)年に地方創成推進のために都市部に学生が集中することを是正する目的で国が設けた入学定員超過の制限に対応するためのもので、将来に予想される入学者の減少に伴う収入減や各種改革の実行による負担増を踏まえた財政のシミュレーションに基づく、それこそ“生き残りをかけた”、どちらかといえば緊縮方向の計画でした。
計画を策定し実行した年度から7年経過した令和4(2022)年、学園教職員の弛まぬ努力により各種諸改革等が確実に実行され、当初の予測に反し、財務体質は大きく成長の方向に改善する結果となりました。また、時代に対応して高等学校・中学校の教育コース改革や校舎の全面改築計画の推進、大学においてはデータサイエンス学部の設置をはじめとする将来に向けた学部再編事業の活発化、小学校では将来構想の模索、学園レベルでの働き方改革への取組といった事業が計画され実行に移されるなど、新たな改革機運の高まりが感じられるようになりました。この様な状況をうけ学園としてさらに未来に向けた積極的な成長戦略としての中期計画を示す必要が出てきました。
令和5(2023)年3月、これまでの事業を検証したうえで将来に向けた具体的な計画を踏まえ、今後10年を期間とした第二期中期経営計画を理事会において決定しました。本計画では「学園創立150年に向けた礎を築く」、「時代を担う京女人の育成に投資」の二つをコンセプトとし、確かな財務シミュレーションに基づく管理会計を基本において必要な事業に積極的に投資を行うことを謳っています。厳しさを増す競争的環境であるからこそ、特色化を図るための必要な投資を惜しまないという考えです。その中で重点事項として挙げているのが「優秀な教職員の確保」、いわゆる人的資本への投資の充実です。採用活動のみならず現在在職している教職員に対する資本の投下も意味するもので、働き甲斐のある職場、やりがいのある仕事の実現を通し、教職員一人一人がモチベーションを上げ、総体として学園全体の活性化と理念の具現化に結びつけたいと考えています。
中期計画を確実に実行することで学園の発展に寄与できるものと考えています。


このページの先頭へ