世の中がどう変われば、私たちはしあわせなんだろう。

ジェンダー平等やSDGs。さまざまな考え方や価値観がある中で、本当に必要なことは、なんだろう。誰もがしあわせになれる社会って、なんだろう。いままでにない新しい答えを、導き出せる女性を育てていくために。京都女子大学は、「HAPPY WOMAN®」との産学連携プログラムに取り組んでいます。自らの力で、社会を変えていける人材育成を、加速させていきます。

OVERVIEW概要

京都女子大学は、2020年に新たなグランドビジョンを策定し、重点課題としてジェンダー平等の実現やSDGsの達成などに取り組んでいます。その一環として、女性のエンパワーメントと社会活性化を目的として活動する「HAPPY WOMAN®」との産学連携プロジェクトを発足。本学の学生が企業の方々と関わりながら、社会課題の解決策を探究していくプロジェクトです。

学生が実際に社会で働く方々から話を聞き、議論することで、自分自身で意思決定することの必要性を学び、未来を切り拓いていく人材となることを目指します。

第2回となる本プロジェクトでは、協力企業の方々とのワークショップをスタート。ディスカッションを経て、学生自らがアイデアを企画し、企業の方々にプレゼンテーションする予定です。詳細は今後、レポートとしてご報告していきます。

HAPPY WOMAN®

HAPPY WOMAN®とは、持続可能な未来づくりの基盤でもある「ジェンダー平等と女性のエンパワーメント」を推進し、活力ある社会実現を目指すプロジェクト。国連が制定している3月8日の国際女性デーの普及はじめ、すべての人が豊かに幸せな人生を送るための学びや行動に繋げる場を創出しています。

社会を動かす女性に、なりたいあなたへ。3月8日は国際女性デー 女性の生き方を考える日 HAPPY WOMAN FESTA 2023 in 京都女子大学 2月25日 土曜日 午後1時から午後4時15分 参加無料 事前予約制

新たな時代の女性の生き方を、第一線で活躍するゲストの方々とともに考える一日。
Happy Action Laboの学生もワークショップの成果をプレゼンテーションします。

REPORT実施報告

順次ワークショップレポートを更新していきます。

  • 昨年新たに発足し、今年第2回となる産学連携プロジェクト「Happy Action Labo」。
    昨年はオンラインでの開催でしたが、今年のワークショップはオフラインでの開催となり、HAPPY WOMAN®代表を務める小川実行委員長や協賛企業の方々が京都女子大学のキャンパスに集いました。
    事前のオリエンテーションを経て開催された今回のワークショップでは、はじめにリコージャパン株式会社 京都支社、小川珈琲ホールディングス株式会社、株式会社ワコールホールディングスの3社がそれぞれ取り組むSDGsの事例についてご紹介いただきました。

    ワークショップの様子 ①
    小川氏から日本におけるSDGsの現状や社会課題など、オリエンテーションのおさらいがあり、「椿」「MANATY」「藤の花」の3チームに分かれて、解決していきたい社会課題をワークシートに書き出していきました。協賛企業の方々も一緒にワークショップに参加していただき、交流会のような形式でアドバイスをいただきながら、活発な意見交換ができる時間となりました。
    最後に、企業の方から、「切実な社会課題であると感じられるような内容だったので期待」や「課題に対して視点を上げて高いところから見てみることが大切」、「会社でのワークショップではここまで意見が出ず、学生の皆さんは意見が出て驚いたので今後が楽しみ」などのコメントやアドバイスをいただきました。
    第2回のワークショップまでに、今回出てきた意見をチームごとにまとめ、2030年のあるべき姿・理想について個⼈とチームで考え、解決していきたい課題を3つに絞っていきます。

    ワークショップの様子 ②

    記念撮影の様子

    学生の感想

    今まで消費者の立場でしかSDGsについて見ることができていなかったのですが、SDGsに対する企業の取り組みやそこから見える課題を実際に聞き、企業側の視点についても考えることができました。

    現代社会学部 / 2年

    企業の方々から直接お話を聞くことができ、とても有意義な時間でした。同じグループの方々が考えている問題意識を知ったことで、自分自身の社会問題の幅も広がり、意識も高まりました。

    発達教育学部 / 2年

    他学部同士のグループ分けになっているので、どのような社会問題があるのか、どのような問題がどのように深刻であるかをそれぞれ違った視点で話し合うことによって、課題に対する解決案が面白くなる気がしました。

    家政学部 / 3年

  • チームごとに、考えてきた解決したい社会課題を5つから3つに絞って発表することからスタート。「なぜその課題を選択したのか」「どうなると理想だといえるのか」についてそれぞれ5分という限られた時間で意見を述べました。その後のグループワークでは企業の方を交えたチームで、発表した3つの課題の望ましい未来を考え2030年の理想を膨らませていき、その達成に向けて政策や企業の事業、サービス、個人の取り組みなどのアイデアを出し合いました。

    課題を発表するチーム藤の花の学生たち
    • チーム藤の花 : 解決したい課題3つ
    • 1. ヤングケアラーへの支援

      中学生の17人に1人が該当するという身近な問題なのに、あまり知られておらず、彼ら彼女らへの支援が普及していない。

    • 2. 服のリサイクル

      手軽にリサイクルできるシステムが構築されていないため、リサイクル率が20%以下という低さにある。

    • 3. 高齢化社会と地方の過疎化

      高齢化が進み地方が過疎化していることに加え、地方に住む高齢者の生きがいの低下も注目すべき問題。

    • チームMANATY : 解決したい課題3つ
    • 1. アパレル業界における労働問題

      海外工場で強制労働がおこなわれているブランドがある。私たちの選択で企業に行動を促すことができるのではないか。

    • 2. 食品ロス

      生産量の3分の1が廃棄されている。一番身近で、一番実践しやすい問題だと思う。私たちの意識次第ですぐに変えていけるのではないか。

    • 3. 日本人女性のキャリアアップ

      日本の女性管理職の割合は10%台前半で、世界的にみても男女格差が大きい国である。今後自分たちが大きく関わってくる問題。

    課題を発表するチームMANATYの学生たち

    課題を発表するチーム椿の学生たち
    • チーム椿 : 解決したい課題3つ
    • 1. 性教育の問題

      偏った性教育のせいで、予期せぬ妊娠や自身のジェンダーなどに関してつらい思いをしている人が少なくない。

    • 2. フードロスと貧困

      大量の食品が廃棄される食品ロスが問題とされる一方で、相対的貧困(飢餓)の問題も抱えているという“崩れた均衡”を解決する必要がある。

    • 3. ごみ問題

      20年以内にごみ処理が限界を迎えると言われている産業廃棄物と、身近だからこそ自分たちの行動が解決につながる一般廃棄物についての問題。

    アイデアを出す際には、SDGsと同様にバックキャスティング(どうしても必要な目標を設定し、やり方を後から考える)という発想法を活用して、自由に幅広い意見を出し合うことができました。
    最後に、企業の方々から「当事者の立場になって考えること」、「生活者視点で考えながらも、企業のビジネス的なメリットも考えられると実現につながりやすいこと」、「まずはじめは、自分の周りなどの小さなところから解決していくことも大切」などといったアドバイスをいただきました。
    これらをもとに、次回までにさらにアイデアをブラッシュアップし、第3回のワークショップでは1課題につき1案に絞り、実行プランを細かく設定してまとめあげます。

    ワークショップの様子 ①

    ワークショップの様子 ②

    学生の感想

    社会課題について生活者の目線でしか考えを深められていませんでしたが、企業の方から「企業目線で考えると良い」というアドバイスをいただき、思考の幅が広がって有意義な議論にすることができました。

    発達教育学部 / 3年

    自分たちに足りない企業目線での解決策の考え方を知ることができました。私たち消費者が得をする制度づくりをするのではなく、会社側にもSDGsを通して利益をもたらせるようなWin-Winの関係を築き上げていくことをこれから意識しながら解決策を練っていきたいと思います。

    発達教育学部 / 3年

    それぞれの課題について細かく議論していく中で、課題や解決策、それに基づく現代社会の課題について深く話すことができて良かったです。私たちが知らないだけで、世の中には課題がたくさん隠れていることを実感し、一方で企業の取り組みや、その実態を聞くことができて一筋縄ではいかないこともわかりました。

    現代社会学部 / 2年

  • 最終プレゼンテーションを2月25日(土)に控え、最後の開催となる第3回ワークショップ。
    まず初めに、前回チームごとに出した3つの社会課題について、考えられる原因と解決アイデアを発表しました。本番をイメージして発表時間を意識しながらも、前回からブラッシュアップしたアイデアをわかりやすくまとめることができました。学生が実体験から感じたものや、課題に関わる人の状況を考えて出したものなど、それぞれの視点に立って考えられたことでより良いアイデアになっていました。
    発表後、小川実行委員長(HAPPY WOMAN®代表)から「前回お話ししたバックキャスティングの考え方を用いて、もっと柔軟な発想で学生らしく壮大なアイデアに仕上げられたらいいと思います。2030年の理想の世界というゴールを定め、無謀だと感じても一度アイデアにしてみてください」というアドバイスをいただきました。

    課題の原因と解決策のアイデアを発表するチーム椿の学生たち

    課題の原因と解決策のアイデアを発表するチームMANATYの学生たち

    課題の原因と解決策のアイデアを発表するチーム藤の花の学生たち

    グループワーク中、熱心に議論を交わす学生たち ①

    グループワーク中、熱心に議論を交わす学生たち ②
    そして、企業の方を交えたグループでのブレインストーミングでは、3つの課題を特に解決したい1つに絞り、プロジェクトの名称やプランの詳細を詰めていきました。
    最後に企業の方々から、「京都女子大学に通うみなさんが主体的に取り組めるような課題を選択すると、具体的な解決アイデアを考えやすいのではないか」「新たなストーリーや視点を持つことで、生活者の意識改革を促すようなビジネス展開をしてほしい」といったコメントをいただきました。
    次回の最終プレゼンテーションに向けて、アイデアを議論しブラッシュアップできた有意義な時間となりました。

    学生の感想

    グループで議論する中で、自分が考えた意見だけでなく、それ以上のアイディアを聴くことができて有意義な時間でした。大学がある東山区での取り組みを考えており、地域の人の声を聞ける環境も整っているので、残りの時間で悔いのないプロジェクトにしたいです。

    発達教育学部 / 2年

    他のグループがどのような課題と解決策を提案しているのかを知ることができてよかったです。自分たちのグループは何回かワークショップ以外にも話し合いを進めてきて解決案が出尽くしていましたが、自分たちがまだ考えつかなかった案を他のグループが提案していたりして関心を持ちました。

    現代社会学部 / 2年

    自分たちのグループだけでは検討しきれていなかった部分を企業の方々が社会人の視点で追求してくださり、まだまだ表面的な提案しかできていないことを実感しました。これから最終発表に向けて、会社と消費者のどちらにも利益があるようなイベント作りに徹したいです。

    発達教育学部 / 3年

  • およそ半年間、全3回のワークショップを通して社会課題の解決策を探求してきたHappy Action Labo。ついに最終プレゼンテーションの日を迎えました。
    2030年のあるべき姿・理想を設定し、その達成に向けて何をするべきかを、企業の方々と意見を交わしながら考え、何度もブラッシュアップしてアイデアを完成させました。

    チーム椿の発表
    発表はチーム椿からです。学生団体を作りワークショップを開き、さらに企業へもアプローチする「そうだ、レインボーボイス、シェアしよう~すべての性別に寄り添う社会であるために~」というプロジェクトを提案。誰もが生きやすい、ジェンダー平等の社会を目標に掲げました。
    チームMANATYは、消費者の家庭系食品に対する意識改革や、企業の事業系食品ロスの削減を目指す「フードロスフェスタ」の開催を提案。様々なアプローチで規格外品の販売をおこなうイベントを、2030年までに段階的に実施するというアイデアを発表しました。

    チームMANATYの発表

    チーム藤の花の発表
    チーム藤の花は、地域活性化の観点から商店街の衰退を課題とし、「商店街活性化プロジェクト」を提案。ボランティアに興味はあるが行動に移せていない学生と、商店街を盛り上げたい高齢者をマッチングさせ「第2の家族に出会える商店街づくり」を目指すアイデアです。
    最後に、ご協力いただいた企業のみなさまから、全体を通してのコメントをいただきました。

    企業の立場では様々なフィルターに邪魔されてしまうので、学生ならではの発想力に驚かされましたし、可能性を感じました。今回の経験を社会人になってからも生かしていってほしいです。

    片岡氏(リコージャパン)

    社会課題に真摯に向き合っていて、すばらしい発表でした。課題として一括りにせず、一人ひとりの幸せを考えることが解決につながると感じました。ぜひこれからも、学生のみなさんには挑戦しつづけてほしいと思います。

    三宅氏(ワコール)

    今回の機会があったから知れた問題や、触れられた考えもあったかと思います。国際女性デーがなくても、普段からこういった問題を考えられる社会になればいいなと思います。問題を提起できるのはみなさんの力です。ここで終わらず、今後も発信していってほしいです。

    佐藤氏(小川珈琲)

    SDGsと社会課題について、学生ならではの発見を生かしてアイデアに落とし込むことができました。半年という短い期間ながらも真剣に社会と向き合った今回の経験は、これからの未来に役立つ学びとなりました。

昨年実施した
第1回Happy Action Laboの取り組みは
こちらからご覧いただけます。