改革期 新たな50年へ

大学改革

将来構想の検討

短期大学部は、現代社会学部の設置に伴って、定員の半数を大学に振り替え、その規模を縮小していたが、18歳人口の減少による私大倒産が現実化しつつある中、短期大学部の存廃問題が将来構想の最重要課題として残されていた。
そこで平成12年(2000)12月、平成16年度に向けた大学・短大の将来構想を検討し具体的な改革案を策定するため「大学・短大将来構想検討委員会」を設置し、短期大学部の存廃問題を含む検討が進められることになった。

大学・大学院改革

第一段階として、平成13年(2001)4月、大学院のさらなる充実を図り、大学院文学研究科に国文学専攻及び英文学専攻の博士後期課程、表現文化専攻修士課程を設置、家政学研究科においても被服学専攻を生活造形学専攻に改組転換した。
平成14年(2002)10月には、教育系新学部と福祉系新学科の設置、現代社会学部を基礎とする大学院新研究科の設置などを柱とする平成16年度改革の基本的枠組みを確定。同時に、新学部設置委員会や新学科設置委員会など、実現に向けた検討体制を整備して、具体的な検討を進め、平成15年(2003)3月、平成16年度改組計画を決定した。

平成16年度改組

そして平成16年(2004)4月、大学に発達教育学部と家政学部生活福祉学科を開設。その他、食物栄養学科・生活造形学科の定員増、編入学定員の設定、新たな資格課程の開設などを実現した。また、短期大学部においては食物栄養専攻を廃止するなど全体の規模を縮小しながら、大学との連携を強化した教育課程の整備や、初等教育学科の保育士課程開設など新たな魅力を追求した。大学院においても、現代社会研究科を設置するとともに、家政学研究科に生活環境学専攻博士後期課程を開設。大学院、大学、短大全体におよぶ大改革を完了した。

施設整備

平成16年度改組にあわせ、食物栄養学科の給食経営管理実習施設や生活福祉学科の介護実習施設など、約6億円の事業予算を投じた施設整備を実施した。この介護実習施設を含む新学科用施設の整備にあたっては、スペースの確保が困難な課題となったが、同窓会の理解と協力を得て、同窓会館(藤陵会館)を学園の施設として利用することが可能となり、諸問題が一挙に解決することとなった。

錦華殿

錦華殿

T校舎(藤陵館)

T校舎(藤陵館)

生活福祉学科実習室

生活福祉学科実習室

生活福祉学科実習室

生活福祉学科実習室

改革の継続

大学・短大においては、平成16年(2004)6月、「第2次大学・短大将来構想検討委員会」を設置し、平成20年度に向けた改革案の検討を開始。ワーキンググループやワークショップ、教職員の創意による研究会などを設置して、教育力の向上や学生支援体制の充実などをめざす具体的改革案の検討を進め、栄養クリニックの創設や新たな資格課程の開設などを実現した。

大学院改革の完成

大学院では、平成18年(2006)4月、文学研究科教育学専攻、同表現文化専攻及び家政学研究科児童学専攻を改組し、新たに発達教育学研究科を設置するとともに、家政学研究科に生活福祉学専攻を増設。また現代社会研究科公共圏創成専攻に博士後期課程を開設し、これをもって全ての研究科に博士後期課程の設置を完了した。平成21年(2009)4月には、家政学研究科食物学専攻を食物栄養学専攻に名称変更し、平成7年度から進めてきた大学院改革は一応の完成を見ることとなった。

高・中・小・幼改革

高・中・小・幼キャンパス整備計画

高等学校・中学校・小学校・幼稚園においては、平成12年(2000)、「高中小幼キャンパス整備計画検討委員会」が事務局長のもとに設置され、各校の将来構想を展望した中長期的なキャンパス整備計画を策定。生徒の安全確保や新たな教育計画に対応した施設設備の充実を目的として、約16億円の事業予算を投じた中学校・高等学校全校舎(体育館を含む)の耐震補強、増築、リニューアル工事を実施し、平成16年(2004)3月に竣工した。
附属小学校においては、平成15年(2003)8月に校舎の耐震補強工事を実施した。

高等学校・中学校

平成15年(2003)には、近年の入学志願者数の推移や、競合する他私学の動向を踏まえ、高等学校・中学校のバランスのとれた生徒確保をめざすこととして、中学校の収容定員を増員し、高等学校の収容定員を減員。六年一貫教育体制をより一層強化させることとした。また、中学校に理科や数学のより発展的な学習を行う「ⅡSコース」を新設するなど、教育課程の充実を図った。そして、ⅡSコースが完成した平成18年(2006)には、建学の精神のもと、将来的な大学との連携を視野に入れたウィステリアコースを中学校に開設。さらに同コースの1期生が高等学校に進学する平成21年(2009)には、高等学校に専門学科「ウィステリア科」を設置した。

附属小学校

平成19年(2007)、創立50周年を迎えた附属小学校では、常任理事会のもとに設置した附属小学校将来構想検討委員会において、学年ごとの教育目標に応じたクラス編成や国語力の向上をめざす取り組み、将来的な増改築計画を含むキャンパス整備計画など、附属小学校の将来構想計画を策定。平成20年(2008)には、校舎の全面リニューアル工事を完了するとともに、計画どおり少人数教育に対応したクラス編成を実現し、次の50年に向けた新たな一歩を踏み出した。

附属小学校 図書館

附属小学校 図書館

高等学校・中学校校舎

高等学校・中学校校舎

創立100周年

平成22年(2010)、本学園は創立100周年(創始111年)という大きな節目を迎え、年間を通じてさまざまな記念事業を実施した。12月5日には、記念式典・祝賀会を挙行し、多くの来賓とともに100周年を祝った。
各校がそれぞれの改革を推進するとともに、東山キャンパス全体に及ぶ総合的なキャンパス整備計画に着手し、学園は新たなる100年に向かって、大いなる一歩を踏み出した。

大学・大学院

平成21年(2009)7月、京都女子大学が10年後にめざすべき大学像として、8項目のグランドビジョンを決定するとともに、大学・短大の教育力を結集し、日本の女子大学をリードする存在となるべく、短期大学部の学生募集停止を決断した。そして、平成23年(2011)4月には、日本の女子大学として初めての「法学部」を開設し、あわせて大学の収容定員増、カリキュラム改革、学生支援体制の充実などの教育改革を実現。さらに、同学部の完成年度を待って大学院法学研究科法学専攻を平成27年(2015)4月に開設した。
平成27年(2015)3月には短期大学部の最後の卒業生を送り出し、昭和25年の開学以来65年間を通して多くの卒業生を輩出した「京都女子大学短期大学部」は廃止されることとなった。

高等学校・中学校

高等学校・中学校を取り巻く環境は年々厳しさを増しており、平成22年(2010)に高等学校長のもとに高等学校・中学校将来構想検討委員会を設置して、将来を展望した教育内容や、各校との連携、学校規模、施設整備等の検討に着手。平成24年(2012)6月には中間答申が提出され、それに基づく中学校の募集人数の削減を実施。平成28年(2016)には計画どおり高等学校の募集人数の削減を実施した。

附属小学校

小学校においても、京都市内における公立小中一貫校の開設や競合する私立小学校の増加などにより、一段と厳しい環境となっており、これまでの改革の基礎のうえに立った、より発展的な改革案を策定すべく、附属小学校将来構想発展計画検討委員会を設置して、具体的な検討に着手。平成26年度には給食を導入し、平成27年度からは「登下校のお知らせメール」と、放課後の学びを充実させる「アフタースクール」も導入した。

幼稚園

幼稚園においては、平成23年(2011)より3年保育・3クラス制に切り替え、これに対応した幼稚園舎を新築した。 また、通園バスの購入(更新)や制服デザインの変更、さらに子育て支援の一環として「預かり保育」を導入。平成26年(2014)4月からは、小学校とともに学園内に給食調理センターを設けて給食を開始した。 平成28年(2016)には、幼稚園として創立100週年を迎え、記念行事・式典を開催。 新たな歴史を歩みはじめたところであるが、少子化や認定こども園制度など幼稚園を取り巻く環境は厳しく、平成31年度から満3歳児保育の導入や預かり保育の充実、通園バス範囲の拡大等の施策に取り組んでいる。

創立100周年(創始111年)記念式典

創立100周年(創始111年)記念式典

模擬法廷

模擬法廷

大阪オフィス受付

大阪オフィス受付

大阪オフィス4階支援室

大阪オフィス4階支援室

東山キャンパス整備計画

グランドビジョンの一つに掲げられた東山の立地・環境を生かした総合的なキャンパス整備計画の実現に向けて「京都女子大学東山キャンパス整備計画」を策定し、その第一次整備計画を平成22年(2010)から平成29年(2017)まで推進した。その間、F校舎(法学部校舎)、Y校舎(演習室棟)、馬町駐輪場、R研究所棟、U校舎(幼児教育棟)を新築したほか、C校舎耐震改修工事、K校舎増築工事、B校舎耐震補強工事、小松寮耐震補強等改修工事を実施した。平成27年(2015)1月には学生・教職員の長年の夢であった図書館新築工事に着手、平成29年(2017)2月に竣工、これをもって第一次東山キャンパス整備計画を完了した。
引き続き新学生寮の建築計画を含む「第二次東山キャンパス整備計画」を推進し、平成29年(2017)9月に新学生寮「紫金寮」が竣工、平成30年(2018)3月に東山寮増築・改修工事を完了した。さらに東山キャンパスの耐震化の実現に向けてD・E校舎改築工事計画に着手。その準備工事として、平成30年(2018)4月に学生食堂等仮設校舎及び給食調理センターを建築するとともに、日吉寮跡耐震補強等改修工事を実施した。平成31年(2019)3月に既存D・E校舎及び錦華寮の解体工事を完了し、令和3年(2021)3月に新E校舎が竣工し、これをもって「第二次東山キャンパス整備計画」を完了した。 平成22年(2010)より実施してきた「東山キャンパス整備計画」の中で最も大きな規模となる高等学校・中学校の建替計画、及び附属小学校の整備、大学においては耐震化率100%達成に向けた整備や改組計画に伴う整備を実施する「第三次東山キャンパス整備計画」を推進した。
大学では、耐震上問題のあったA・Q校舎の解体撤去が令和5年(2023)5月に完了し、耐震化率100%を達成した。また、データサイエンス学部の専用施設や学園講堂、礼拝堂等を配置する新校舎の建築に着手した。
高等学校・中学校では、キャンパス全体の建替となる高中キャンパス整備計画を推進し、令和5年(2023)6月から第一校舎(教室棟)の工事に着手したところであり、令和7年(2025)3月の完成を目指している。

新たな改革に向けて

大学を取り巻く様々な状況を踏まえ、平成28年(2016)1月、中期経営計画策定にかかる基本方針を定め、当該基本方針にもとづき大学財政構造の適正化に向けた収入増加策と支出抑制策を推進している。
その一環として、平成29年(2017)度に現代社会学部、平成30年(2018)度に法学部の入学定員を増員。平成31年(2019)度には、家政学部生活福祉学科を改組し、発達教育学部教育学科養護・福祉教育学専攻を、教育学科心理学専攻を改組し、心理学科を設置するとともに、大学編入学定員を振り替えて文学部国文学科、史学科、家政学部生活造形学科の学生定員を増員した。また認証評価結果を踏まえて大学院現代社会研究科公共圏創成専攻の学生定員の適正化を目的とした減員を行った。
その他、平成27年(2015)には地域連携研究センターや生活デザイン研究所を設置して地域連携や産官学連携活動を促進するとともに、平成29年(2017)度からは特命副学長を置き、大学長のもと新たな時代に向けた改革を積極的に推進する体制を整備。同年には国際化推進を目的とした国際交流センターを設置するなど、大学全体での教育改革・組織改革に継続的に取り組んでいるところである。

大学創基100周年を迎えて

令和2年(2020)、本学園は創立110周年・大学創基100周年という大きな節目を迎えるにあたり、年間を通じて様々な記念事業を実施する予定であったが、社会的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、行事の多くが中止や制限せざるを得ない状況となった。そんな中、学園としての基本理念及び各校の中期的な目標を策定し、令和3年(2021)3月に開催した大学創基100周年記念式典において大学のグランドビジョンを学園内外に発表した。

改革の推進

令和5年(2023)には、日本の女子大学として初めてのデータサイエンス学部を開設し、合せて全学共通の必修教育として、データ・AIリテラシー科目を導入した。
令和4年(2022)には新学部の開設に先立ち、データサイエンス研究所、ジェンダー教育研究所を設置する等、グランドビジョンに掲げる、社会の変革を担う女性人材の養成に向けた各種施策を推進している。

幼稚園舎

幼稚園舎

小松寮

小松寮

体育館

体育館

B校舎 講義室

B校舎 講義室

図書館

図書館

E校舎

E校舎


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