PROFILE

文学部 史学科
山田 雅彦先生
Yamada Masahiko

研究テーマ:ヨーロッパ中近世史

九州大学大学院博士後期課程修了、博士(文学/九州大学)。研究分野は西洋史。ベルギー・ヘント大学留学、熊本大学文学部教授、熊本大学大学教育機能開発総合研究センター教授を経て、2006年より現職。著書『中世フランドル都市の生成』(ミネルヴァ書房)ほか。

歴史の中にあるテーマを
どう取り上げて、どう考えるか。 

歴史を学ぶことは、現代社会を考えることと直に結びついています。こう聞くと、意外に感じられるでしょうか。
私が研究対象としているのはヨーロッパの過去の時代であり、一見したところでは、研究テーマが現代社会と直接、関わり合う接点はまるでないように思われます。ところが、一例として中世の黒死病をキーワードに取り上げたとするなら、〈社会と医療〉、〈統治と医療〉、〈社会の中の弱者〉といった問題設定が可能となり、こうした問題は現代に通じています。このように、ありとあらゆる歴史上の社会・文化現象が、現代の社会問題を斜めから考えてみる機会を与えるものとなるのです。

自分にとって興味のあるヨーロッパを探求。

もともと私が専門に研究しているのは、都市の形成・発展、あるいは領域諸侯による地域支配の問題です。北フランスからベルギーにかけての地域を主なフィールドとしています。私がこうしたテーマを選んできたのは、何よりも、ヨーロッパ都市への憧れからでした。
ゼミでは、ヨーロッパの中世初期から近世にいたる時代(6世紀~18世紀)、日本でいえば飛鳥時代から江戸時代中期にかけての長い期間を対象として、さまざまな角度からヨーロッパ社会の成立について理解を深めていきます。政治、経済、文化のすべてのジャンルをゼミで取り上げる対象としており、これらの中から各々がテーマを絞って研究を進めます。

自ら考え、行動する力を養うゼミ。

ゼミでは、まず3回生前期で中近世に関する最新の研究論文を取り上げて、基本的な論文の読解方法を学びながら、同時に中近世史の知識を身につけていきます。そして3回生後期には、ゼミ生が各自で取り組んでみたい研究テーマを選び、文献一覧を作成。今後の研究課題と研究の方向性を自身で考え、報告します。こうして3回生を終える頃には、ほぼ卒論の方向が定まります。
いよいよ4回生になると、各自が交代で自分の研究テーマに関する報告を行います。報告後には全員で質問と討議を重ね、みんなでそれぞれのテーマを育てていきます。後期の10月には、いつものゼミ内での報告とは別に、公に卒論中間発表会を行い、12月にその成果をまとめて提出。さらに1月には、反省会と試問に向けた勉強会。この流れが、山田ゼミの2年間です。

各界で活躍するゼミの卒業生たち。

ゼミでの2年間の学習を経て学生たちが身につけるのは、何よりも、論理的にものを考えることができる能力です。卒論に向けて、自分自身の調査と考察、さらにはグループ討議による学習によって、証拠を積み重ねて論理的に思考する力が着実に培われます。また、卒業論文を通じて長い文章を作成するという経験も、成長の糧となるものです。卒業論文作成の「ビフォー」 と「アフター」では、大きく「人」が違ってきます。
もうひとつの大きな成果となるものは、西洋史という分野に起因する特性である、広い見識です。ゼミでの学びが、まさにグローバル時代にふさわしい、世界に関する知識と一定の語学力を身につけることにもつながっているのです。これまでに、たくさんのゼミ卒業生たちが各界で活躍しています。

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