PROFILE

法学部 法学科
前田 直子先生
Maeda Naoko

研究テーマ:国際法

京都大学法学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究修了。英国レスター大学大学院法学研究科修了。博士(人間・環境学/京都大学)、法学修士(英国レスター大学)。専門は国際法学。外務省外務事務官、神戸大学大学院国際協力研究科などを経て2011年より京都女子大学法学部へ。2020年より教授。外務省時代は国連での外交交渉にあたるなど、国際法の最前線での実務経験も踏まえつつ研究を重ねている。

 何気ない日常と国際社会のつながり。
それを意識すると、世の中の見方が変わります。 

今、私たちがあたりまえのように行っているゴミの分別。実は「国際法」と深い関係があることを知っていますか? 国際法とは、国家間の取り極めのこと。先進国に温室効果ガスの排出削減を義務づけた国際条約「京都議定書」が1997年に採択されたのを機に、日本国内でもゴミ分別・リサイクルの動きが進み、エコカーや省エネ住宅がブームになるなど、環境対策のトレンドが私たちの生活に一気に押し寄せました。ふだんは特別意識することのない日常の生活習慣も、国際社会と密につながっている。そんな視点で世の中を見渡すと、私たちが抱えるさまざまな課題の本質をとらえられるようになるはずです。

「国際法」は、国際社会の共通言語。

近年、ニュースなどでも「国際法に基づく解決」という表現が頻繁に聞かれるようになりました。それは、武力紛争や領土問題、環境問題、人権問題など、世界が直面しているさまざまな問題には、国際社会全体の取り極めである「国際法」に基づいた解決が必要であるということを意味します。グローバル社会におけるさまざまな問題の解決には、言語や文化、民族、宗教などが異なる国家や個人をお互いに尊重し、それぞれの多様性を理解することが不可欠です。しかしそれは簡単なことではありません。他者を理解し受け入れる姿勢は、しっかりと確立された自己があってこそ生まれるものだと思います。国際社会の共通言語ともいえる国際法を学ぶことは、世界の変化や多様性に対応できるしなやかさ、自分自身を見失わない自律性を身につけることにつながります。それこそが、真のグローバル性の獲得といえるのではないでしょうか。

ディベート大会への挑戦で、大きく変身する学生たち。

このゼミで学ぶ学生たちは全員、「関西国際法ディベート大会」に参加します。これは、1996年から続く伝統あるコンペティション。毎回、近畿圏の主な大学から国際法を学ぶ学生たちが集い論戦を繰り広げ、京女は2013年の初参加以来、3回の優勝を含め常に上位入賞を果たしています。ディベートとは、単に言いたいことを言い合う場ではありません。ゼミ生たちは大会出場に向けた準備を通し、さまざまな問題を多角的な視点でとらえ、相手の主張を理解しつつ自分の主張を最適な表現で伝える力を養っていきます。実際、学生たちは、問題の本質を捉えるスピードが格段に上がるなど、ディベート大会が終わる頃には大きな成長を遂げます。彼女たちが身につけるのは、社会で求められるジェネリックスキル。卒業後、どんな分野に進んでも必ず役立つ力です。

法学は、将来の選択肢をひろげる学問。

法学部というと、卒業後は法曹界に進むイメージが強いかもしれません。しかし実際は、将来の選択肢の幅を大きく広げられる学問分野だと思います。実は私自身も学生時代、そんな視点で法学の道に進みました。将来の目標が明確に決まっていない人こそ、法学部で学ぶことをお勧めます。このゼミでは、学術論文を読み込み、過去の判例を学ぶという法学の基本的な勉強法を身につけつつ、世の中の事象を多様な視点で考えることをめざします。時代や価値観の変化にともなってスピーディーに姿を変えていく国際法の醍醐味にふれながら、世の中の問題の本質をとらえる力、社会で求められるコミュニケーション力などを身につけてほしいと考えます。

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