○京都女子大学組換えDNA実験安全管理規程
平成10年3月16日
制定
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令」(平成16年2月19日文部科学省・環境省令第1号。以下「省令」という。)に基づき、省令に定めるものの他に京都女子大学(以下「本学」という。)において遺伝子組換え生物等を使用する実験(以下「実験」という。)を計画し、実施する際の安全の確保に関する基準を定め、もって実験の安全かつ適切な実施を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この規程において使用する各用語の定義は、それぞれ省令において使用する用語の定義によるものとする。
第2章 組織及び職務
(学長の職務)
第3条 学長は、本学における実験の安全確保に関する業務を統括する。
(学部長等)
第4条 実験の実施に係る学部又は研究所(以下「学部等」という。)の安全確保に関しては、学長の委任のもとに当該学部又は当該研究所の長(以下「学部長等」という。)が管理する。
2 前項の規定にかかわらず、複数の学部等が共同して実施する実験又は他の学部等の施設・設備を使用して実施する実験にあっては、関係学部長等の協議によって、その実験の実施に係る安全の確保に関して管理する学部長等を定めることができる。
3 関係学部等の学部長等は、前項の規定により実験を管理する学部長等を定めたときは、これを委員会及び学長に報告しなければならない。
(安全委員会)
第5条 本学に、実験の安全な実施を確保するため、京都女子大学組換えDNA実験安全委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、学長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議し、その結果を学長に報告し、又は意見を具申する。
(1) 実験に関する規定の制定及び改廃に関すること。
(2) 実験計画の安全性の審査に関すること。
(3) 実験に係る教育訓練及び健康管理に関すること。
(4) 事故発生時の必要な処理及び改善策に関すること。
(5) その他実験に係る安全の確保に関すること。
第6条 委員会は、次の各号に掲げる者で組織し、学長が委嘱する。
(1) 実験に係る研究領域の教授、准教授又は講師 若干名
(2) 前号以外の自然科学の研究領域及び人文科学又は社会科学の研究領域の教授、准教授又は講師 若干名
(3) 実験に係る学部等の学部長等
(4) 安全主任者
(5) 健康管理センター所長
(6) 施設課長
(7) 研究企画課長
(8) その他学長が必要と認める者
3 前項の委員の補欠の委員の任期は、前任者の残余期間とする。
2 委員会は、委員長が招集し、その議長となる。
3 委員長に事故あるときは、あらかじめ委員長の指名する委員が、その職務を代行する。
4 委員会は、委員の過半数の出席をもって成立する。
5 議事は、出席委員の3分の2以上をもって決する。
6 委員長が必要と認めたときは、委員以外の者を委員会に出席を求めて、説明又は意見を聞くことができる。
7 委員会の事務は、研究企画課においてこれを行う。
第8条 前条各項に定めるもののほか、委員会の運営に必要な事項は委員会が定める。
第3章 安全主任者、実験責任者、実験従事者
(安全主任者)
第9条 本学に、実験の安全確保に関し学長及び学部長等を補佐するため、安全主任者を置く。
2 安全主任者は、省令及びこの規程を熟知するとともに、生物災害に関する知識及び技術に習熟した者のなかから、学長が委嘱する。
(安全主任者の任務)
第10条 安全主任者は次の各号に掲げる任務を行う。
(1) 実験が、省令及びこの規程に基づいて適正に行われていることを確認すること。
(2) 実験の安全性について、実験責任者に対し必要な指導及び助言を行うこと。
(3) その他実験に係る安全の確保に必要な事項を処理すること。
2 安全主任者はその任務を行うにあたり、第5条に規定する委員会と十分に連絡をとり、必要な事項について委員会に報告するものとする。
(実験責任者)
第11条 実験の計画及び実施にあたっては、個々の実験計画ごとに実験従事者のなかから実験責任者を定めなければならない。
2 実験責任者は、省令及びこの規程を熟知するとともに、生物災害の発生を防止するための知識及び技術に習熟した者とする。
(実験責任者の任務)
第12条 実験責任者は次に掲げる任務を行う。
(1) 実験計画の立案及び実施に関しては、省令及びこの規程に基づいて安全主任者と緊密に連絡をとり、実験全体の適切な管理・監督にあたること。
(3) 実験従事者に対して、第28条に定める教育訓練を行うこと。
(実験従事者)
第13条 実験従事者は、実験の計画及び実施にあたっては、実験責任者の指示に従い、かつ微生物にかかわる標準的な実験法並びに実験に特有な操作方法及び関連する技術に精通し、習熟していなければならない。
第4章 実施計画の審査等
(実験計画の申請及び承認)
第14条 すべての実験は、省令及び本条に定める手続きを経て、学部長等を経て学長に届け出、承認を受けなければならない。
2 実験責任者は、大臣確認実験若しくは機関実験を実施しようとする場合、又はその他の承認手続きが必要な場合については、あらかじめ申請書類(所定の様式)を安全主任者及び学部長等を経て学長に提出し、承認を受けなければならない。また承認を受けた実験計画を変更する場合も同様とする。
第15条 学長は、前条第2項の申請があった場合は、委員会の議を経て、承認、不承認の決定を行い、その結果を当該実験責任者に通知するものとする。ただし、学長は大臣確認実験については、委員会の議を経て、文部科学大臣にあらかじめ確認を求めるものとする。
(審査基準)
第16条 前条に規定する委員会の審査は、指針に規定する物理的封じ込め及び生物学的封じ込めの基準に対する適合性及び実験従事者の訓練経験の程度等に基づいて行うものとする。
第5章 実験の安全実施等
(施設及び設備の管理と保全)
第17条 学長及び学部長等は、安全主任者をして定期に、及び必要に応じて随時実験にかかわる施設及び設備の安全の確保に関し、必要な事項を調査・点検させるものとする。
2 安全主任者は、前項の調査・点検において異常を認めたときは、必要な措置を講ずるとともに、その旨を学部長等を経て学長に報告しなければならない。
3 実験責任者は、実験施設及び設備について、定期的に点検を行い、省令に定める物理的封じ込めの基準に適合するよう維持しなければならない。ただし、安全キャビネットについては、1年を越えない期間ごとに検査を行い、点検記録簿(所定の様式)に記載しなければならない。
4 実験責任者は、実験施設、培養装置並びに遺伝子組換え生物等を実験の過程において保管する設備(以下「保管設備」という。)に、封じ込めのレベルに応じて、省令に定めるところにより所定の表示をしなければならない。
(実験の安全確認)
第18条 実験責任者は、実験の安全を確保するため省令に定める基準により、実験従事者に対し安全教育を行うとともに、実験の内容に応じて安全度評価を行い、物理的封じ込め及び生物学的封じ込めの二種の封じ込めの方法を適切に組み合わせて実験を実施するものとする。
(レベル)
第19条 本学における実験レベルは、当分の間P2レベル以下とする。P2レベルの実験を実施する場合は、省令の指定により実験施設にその旨表示しなければならない。
(実験施設への立入り)
第20条 実験責任者は、省令の規定により実験施設への実験従事者以外の者の立入りについて制限又は禁止の措置を講じなければならない。
(実験の過程における遺伝子組換え生物等の保管)
第21条 実験責任者は、遺伝子組換え生物等を含む試料及び廃棄物の保管について、所定の保管場所に遺伝子組換え生物等であることを明示して保管しなければならない。
2 実験責任者は、遺伝子組換え生物等を含む試料及び廃棄物の保管記録を作成し、この保管記録を保存しなければならない。ただし、P2レベル以下の物理的封じ込めを必要とする遺伝子組換え生物等を含む試料及び廃棄物の記録は、実験実施の記録をもって代えることができる。
(遺伝子組換え生物等の運搬)
第22条 実験責任者は、遺伝子組換え生物等を含む試料及び廃棄物を実験施設外へ運搬する場合は、堅固で漏れのない容器に密封し、遺伝子組換え生物等が外部に漏出しないようにしなければならない。
(遺伝子組換え生物等の廃棄)
第23条 実験責任者は、遺伝子組換え生物等又は遺伝子組換え生物等によって汚染された物質を廃棄する場合には、廃棄前に省令に従い確実に滅菌又は消毒しなければならない。
(実験の終了)
第24条 実験責任者は、実験が終了したとき、又は中止したときは、報告書(所定の様式)によりすみやかに学長に報告しなければならない。
(遺伝子組換え生物等の保管)
第25条 実験責任者は、作製した遺伝子組換え生物等を保管する場合には、保管記録(所定の様式)を作成しなければならない。
2 実験責任者は、遺伝子組換え生物等の保管場所又は貯蔵庫等に、「遺伝子組換え生物等保管中」の表示をしなければならない。
(遺伝子組換え生物等の譲渡等)
第26条 実験責任者は、実験で作製した遺伝子組換え生物等を他の大学等の研究者等に供与しようとする場合(当該実験責任者が他の大学等での実験を継続するための遺伝子組換え生物等を移す場合を含む。)には、申請書(所定の様式)を学長に提出して、承認を受けなければならない。
2 前項の場合にあっては、学長は供与される研究者等の所属する大学等の長の承認手続きを前提として、承認、不承認を決定し、当該実験責任者にその旨通知するものとする。
3 実験に使用する目的で遺伝子組換え生物等を譲り受けようとする者は、申請書(所定の様式)を学長に提出して、承認を受けなければならない。
4 前項の場合にあっては、学長は供与する研究者等の所属する大学等の長の承認手続きを前提として、承認、不承認を決定し、当該実験責任者にその旨通知するものとする。
(実験の記録及び保存)
第27条 学長は、安全主任者に次に掲げる記録を5年間保存させなければならない。
(1) 実験計画申請書及び実験終了(中止)報告書
(2) 異常事態発生の経過及び措置の記録
(3) 実験従事者の健康診断受診の記録
(4) 遺伝子組換え生物等の保管記録
(5) 実験施設・設備の点検記録
(6) 遺伝子組換え生物等譲渡許可申請書
(7) 遺伝子組換え生物等受け入れ許可申請書
第6章 教育訓練及び健康管理
(教育訓練)
第28条 実験責任者は、実験の開始前に、その実験に従事する者に対して、省令及びこの規程を熟知させるとともに、安全確保のため次に掲げる教育訓練を行わなければならない。
(1) 実施しようとする実験の危険度に関する知識
(2) 物理的封じ込めに関する知識及び技術
(3) 生物学的封じ込めに関する知識及び技術
(4) 危険度に応じた微生物安全取扱い技術
(5) 事故発生時の措置に関する知識(大量培養実験においては、遺伝子組換え生物等を含む培養液が漏出した場合における化学的処理による殺菌等の措置に特に配慮する)
(6) その他実施しようとする実験の安全の確保に関し必要な知識及び技術
(健康診断)
第29条 学長は、実験従事者の健康管理について、次の各号に掲げる措置をとらなければならない。
(1) 学長は、実験従事者に対してその実験の開始前、及び開始後1年を越えない期間ごとに、健康診断を実施しなければならない。
(2) 実験従事者が病原性微生物を取り扱う場合は、その実験の開始前に予防治療の方策についてあらかじめ検討し、必要に応じ抗生物質、ワクチン、血清等を準備するとともに、実験開始後6ケ月を超えない期間ごとに、特別健康診断を実施しなければならない。
(3) 実験室内感染の恐れがある場合は、直ちに健康診断を行い、適切な措置をとらなければならない。
(4) 健康診断の検査項目は、学長が別に定める。
第7章 実験の制限、経過報告等
(改善の勧告及び承認の取り消し)
第30条 承認を与えた実験の安全性について疑いが生じた場合は、学長は委員会に諮ったうえで、実験方法の改善勧告、実験の一時停止勧告又は承認取り消しを行うことができる。
2 実験責任者が省令及びこの規程に従わない場合は、学長は直ちに是正の措置をとるよう実験責任者に指示しなければならない。
3 前項により指示した事項が是正されない場合、学長は委員会に諮り、実験の制限若しくは一時停止を命じ、又は実験の承認を取り消すことができる。
第8章 緊急事態発生時の措置
(緊急時の処置及び報告)
第31条 実験責任者は、次に掲げる事態が発生したときは、直ちにその旨を安全主任者に通報するとともに、実験従事者と協力して、安全の確保のための応急の措置を講じなければならない。
(1) 地震、火災等の災害により、遺伝子組換え生物等によって実験施設が著しく汚染された場合、若しくはその恐れがある場合、又は遺伝子組換え生物等が実験施設外に漏出した場合、若しくはその恐れのある場合。
(2) 遺伝子組換え生物等によって人体が汚染された場合、又はその恐れのある場合。
(3) その他異常事態が発生し、又はその恐れのある場合。
2 安全主任者は、前項の通報を受けたときは、直ちに必要な措置を講ずるとともに、学長に報告しなければならない。
3 安全主任者は、第1項の異常事態の発生の経過及び措置に関する報告書を作成し学部長等を経て学長に提出するものとする。
第9章 雑則
第32条 この規程に定めるもののほか、この規程の実施に関し必要な事項は、学長が別に定める。
第33条 この規程の改廃は、委員会及び評議会の議を経て学長の申し出に基づき学園長がこれを行う。
附則
この規程は、平成10年3月16日から施行する。
附則
この規程は、平成13年8月20日から施行する。
附則
この規程は、平成14年10月18日から施行する。
附則
この規程は、平成16年4月1日から施行する。
附則
この規程は、平成19年4月1日から施行する。
附則
この規程は、平成20年4月1日から施行する。
附則
この規程は、平成23年4月1日から施行する。
附則
この規程は、平成27年4月1日から施行する。
附則
この規程は、令和4年4月1日から施行する。