雅楽で新しい世界の扉を開く
【雅楽部】

今年度創設されたばかりの新クラブ・雅楽部。創部までのいきさつや、雅楽の魅力、今後の展望などについて、たっぷりとお話をうかがいました。

創設のきっかけを教えてください。

昨年の9月から今年の1月にかけて宗教教育センターの方々が開いてくださった雅楽の体験教室がきっかけで、創部することとなりました。以前から創部の動きはあったそうなのですが、雅楽を体験し、その魅力に強く惹かれ、実際に行動を起こして実現させたのは、現在のメンバーです。

4月8日の花まつりの際に、B校舎前で演奏をさせていただくと、部員数がどんどん増えて、現在は24人にまでなりました。

雅楽とはどのようなものですか?

雅楽は千年以上も前に、仏教とともに日本に伝わりました。神社でもよく演奏されていますが、実はお寺のほうが本場だといえます。

「世界最古のオーケストラ」ともいわれていますが、現在のオーケストラとは違い、指揮者がいない点が大きな特徴です。リズムの拍は、演奏者同士の呼吸で合わせていきます。演奏者は多いときで100人以上にもなるため、全員の呼吸を合わせるためには長めの"間(ま)"が必要です。その結果、メトロノームでははかれない、独特の充分な間が生まれます。具体的には、4拍目から1拍目までの間が長く、これも雅楽の特徴です。

また、音楽の基礎の音程となっている「ラ(A)」の音が西洋音楽では約440ヘルツなのに対し、雅楽の場合は約430ヘルツと、音質も異なります。楽譜の表記方法もまったく違うもので、雅楽の場合は同じ曲でも楽器によって表記方法が異なっています。

雅楽を楽しむにあたっては、西洋音楽の基礎をいったん忘れるぐらいのほうがよいかもしれません。慣れないものに挑戦していく難しさはありますが、これがまた楽しさでもあるのです。

演奏時に「狩衣(かりぎぬ)」を着るのも雅楽ならでは。これに憧れて入部した部員も何人かいます。

笙の譜面。「越殿楽」は、雅楽で最も有名な曲です。

いつもどのような練習をされていますか?

雅楽の楽器には、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)、笙(しょう)の三管と呼ばれる3つの管楽器と、琵琶や箏などの絃楽器(げんがっき)、太鼓や鞨鼓(かっこ)などの打楽器があり、私たちが演奏しているのは管楽器の三管です。それぞれに独自の音色、様々な奏法があり、どれも非常に奥が深い楽器です。主旋律を篳篥、副旋律を龍笛が担っています。音を出すという初歩の段階から、多くの部員が苦労しているのは龍笛です。

日頃は主に、楽器ごとのパートに分かれて練習をしています。パート練習では、できる部分・できない部分をお互いに確認できるので、一人ひとりの目標が明確になるのがメリットです。

合奏の練習では、個人やパートの練習で出来たことが出来なくなることも多くあるので、これを克服していきます。

雅楽の合奏は、演奏者も聴き手も感動に包まれます。一管での演奏からは想像もできないほどの世界が、合奏によって広がっていくのです。三管のコンセプトは「宇宙」で、とてもロマンチック。笙は天から差し込む光、篳篥は地上の人々、龍笛は天と地のあいだを行きかう龍の鳴き声を表現しています。このような素敵で壮大な世界観を、合奏で表現できるようにするのが目標です。

京都女子大学雅楽部の魅力は?

創設したばかりのフレッシュな部活であるうえに、みなさんが今までに経験したことのないであろう音楽を楽しむことができます。新しいことに挑戦したいと思っている人にピッタリで、音楽経験のない人でも大丈夫です。

部員は皆、個性的で面白い人ばかり。とても仲が良く、部活のときはいつもみんな笑顔でいられることも、雅楽部の魅力の一つであると思います。

雅楽部デビューとなった花まつりでの演奏風景。人前での演奏はこのときが初めてで、とても緊張。

これからの雅楽部の目標を教えてください。

演奏後「楽しかったね!」と言い合えるような、笑顔あふれる部活に

とにかく楽しんで演奏をすることです。演奏を終えた後に部員全員で「楽しかったね!」言い合えるようになれたらと思っています。

また、雅楽で現代の曲を演奏するのが大きな目標です。皆さんが知っている曲であれば、より親しみやすく、聞いていただきやすいのではないでしょうか。

そしていつか、雅楽部単独で、演奏会を開きたいと思っています。

取材日:平成28年8月3日


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