教員編

学生へのハラスメント

学生にとって教員とは、深い学問的知識を持ち、研究や教育に熱心で、人格的に優れ、公正で尊敬すべき人物とのイメージが強いものです。残念ながら、学生との適切な関係を保てない教員の事例が他の教育現場から報告されており、本学園でも他人事でなく、発生してしまう恐れがあるという意識を持つことが重要です。

学生に対するアカデミック・ハラスメントとしては、次のような事例が考えられます。

  • 適切な指導をしない
  • 私用を頼む
  • 個人的な情報にもとづく不適切な言動を行う
  • 個人の能力や性格などについて不適切な発言をする
  • 学会など旅行への同行を強要する
  • 学生の研究成果を不適切な形態で自分の論文に使う

学生に対するセクシュアル・ハラスメントとしては次のような事例が考えられます。

  • 授業中に卑猥な発言をする
  • 異性関係に関する話題を不必要にする
  • 飲み会などで身体接触をする
  • 交際をせまる、つきまとう(メール・手紙・電話など)
  • 研究室等の閉鎖された環境で二人きりになりたがる
  • 体型・容姿・年齢・服装などのことをことさらに言う

教員間のハラスメント

学園における教員の構成は大きく変化しています。学問観や研究のスタイルをはじめ、年齢、経歴、資格などの面でも多様な構成となっています。従来は、見逃されていた様々な事例が問題となることがあります。その一つがハラスメントで、例えば次のような事例が考えられます。

教員間のハラスメントとしては次のような事例が考えられます。

  • 助手や年下の同僚を私用に使う
  • 雑用を押し付ける
  • 公私混同の誘いをする
  • あからさまに無視をする
  • 他者のプライバシーを漏らす
  • 体型・容姿・年齢・健康状態などを頻繁に指摘する
  • 同僚の教育・研究・社会貢献などの活動に対し、不要な干渉を行う

また、最近は、学外者を招聘して講演・授業や懇談会・コンパなどに参加してもらう機会が増えていますが、招聘を行う教員は、責任者として、ハラスメントを防止する注意義務を負っています。

学校におけるハラスメントと教員

通常のハラスメントの危険性に加えて、学校には独自のハラスメントが発生する要因があります。

  • 学校の構成員の多様なバックグラウンドにより、日頃は無自覚でいる価値観の差が顕在化しやすい。
  • 身分や資格を要素とする複雑な人間関係がある。
  • 教員は学生に対して、単位認定や進学・卒業に関わる成績評価等で、多大な影響力を持つ。
  • 一般的に一部の教員が、教員採用や昇任人事、予算配分などについて、大きな発言権や影響力を持つケースがある。
  • 「学問の自由」が尊重されるために、他の機関に存在するような他者によるチェック機能が働きにくいため、「世間の常識」から乖離した伝統・慣習が存在する可能性がある。

教員はハラスメントについてよく認識し、ハラスメント行為をしないよう自覚するだけでなく、教室や研究室、会議の場、ゼミ合宿など、自らの関係する様々な場面において、他者によるハラスメント行為が起きないように十分注意し、配慮することが必要です。

ハラスメントを起こさないために

平成22年度より、ハラスメント防止対策委員会では京都女子学園の全ての教職員を対象に毎年ハラスメント講演会を開催し、ハラスメントの問題に関する知識を高め、ハラスメント防止に係る啓発活動に取り組んています。今後もハラスメント講演会を開催しますので、積極的にご参加ください。
ハラスメント防止のヒント!
  • 授業やゼミでハラスメントについての理解を深め、学生と話し合う機会を持つ。
  • 相手のプライドを傷つけることをしない。場所や機会を選んで、相手の言い分にも耳を傾けながら冷静に気付いた点を指摘する。
  • 言葉が足りなかった場合には、事後フォローをする。
  • 発言者が意図せずとも相手側の受け取り方によっては不快に感じることもある。
  • ハラスメントがなく、個人として尊重され、不当な差別のない良好な就学、就労、教育・研究上の環境をつくるようこころがける。
  • 教育・研究及び学校運営において権限や優越的な地位を有する者は、その権限や優越的な地位を濫用してハラスメントを行わないよう十分に注意しなければならない。


教育・研究の場で尊重されるべき信頼関係がハラスメントで揺らぐようなことがあれば、本学園の本来の機能である教育研究活動が困難になるという致命的な問題に発展しかねません。


教員によるハラスメント行為やそれを見逃すような環境を許容することは、人権侵害のみならず、本学園全体の自己否定につながります。

学生や同僚から相談を受けた場合

ハラスメント被害への対応は非常に難しく、専門のカウンセラーはもちろん、状況によっては医師、法律家等の意見を必要とします。安易に対応したり、内輪で解決したりしようとすると、問題をこじらせ、被害者をさらに傷つけるセカンド・ハラスメントを引き起こす可能性があります。

相談を受けた場合は、関係者のプライバシー保護と適切かつ迅速な対応のため、相談窓口または相談員への相談を勧めてください。また、次の点に注意して対応してください。

  • 相談者の意向をよく確かめる。
  • 「あなたにも悪いところがあったのでは?」等の発言は二次加害になるので注意する。
  • 相談窓口に行くか否かは、あくまでも本人が決めることであり、相談者の選択を尊重する。
  • 相談を受けた日時や内容、相談者の様子、自分が感じたこと等を記録しておく。後で第三者に説明する必要が生じた時に役に立つ。ただし情報の管理には十分注意する。
  • 相談内容は、本人の了解なしには決して他に漏らさない。ただし、問題への対応の仕方に関し、自分自身で心配や不安がある場合には、相談窓口または相談員へご連絡ください。

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