PROFILE

発達教育学部 児童学科
神原 雅之先生
Kambara Masayuki

研究テーマ:音楽教育学

広島大学大学院学校教育研究科音楽教育専攻修了(教育学修士)。国立音楽大学ほかで教鞭をとった後、2018年度から京都女子大学教授。専門は音楽教育学、リトミック。幼児期における音楽教育の方法論的研究を中心に活動している。

音楽が人の心に働きかけ、
社会を豊かにしていく。

音楽によって傷ついた心が癒されたり、勇気を得たり、喜びや悲しみを共有したり…といった経験をお持ちの方は、少なくないでしょう。音楽は、“言葉を超えた言葉”として、人々の情緒性に深く関わっています。また私たちは、音楽(リズムや旋律や響きなど)を聴いて、古い時代や見知らぬ街をイメージすることもできます。音楽は、人と人の間で奏でられ、人をつなぎます。そして、人々の想像性や創造性、直観力や応答性などのセンスを育む糧ともなります。こうしたセンスは、人々が音楽に親しみ、生活を豊かにし、コミュニティを育んで、社会を明るくしていくきっかけとなり得るものです。

音楽が子どもたちの成長に及ぼす影響。

幼いころから音楽好きだった私は、ピアノ、吹奏楽、合唱など様々な音楽活動に親しんできました。大学時代にはリトミックと出会い、音楽のもつ深遠な価値に気付く機会を得ました。音楽は、多くの人々に多様な影響を及ぼす存在です。それは知性の基礎となる“感性”に直接的に働きかけるという、不思議な力を含んでいます。
これまで私は、主に子どもを対象としたリトミック、音楽遊び、リズムゲームなど、音楽と動き(movement)に着目し、身の回りのヒト・モノ・コトと音楽との関係性に焦点を当てるなどの研究・実践を続けてきました。子ども自身が、音の違いに気づいたり、動きを通じて音楽の面白さを感じる機会を持つことは、子どもたちの遊びや生活の豊かさの基礎になるものと確信しています。

子どもたちとライブでふれあうゼミ。

学生たちには、ゼミを通して音楽参加することの喜びをたっぷりと味わってほしいと願っています。自分の味わった喜びの体験は、周囲の人たちに自然に伝わっていくからです。ゼミの学生たちは、音楽そのものや演奏が大好きな人たちです。各自が得意な楽器を担当して音楽隊を結成し、機会があれば近隣の保育園や児童館などを訪問。幼児や親子を対象とした音楽会や音楽ワークショップなどを企画・実行しています。子どもたちと一緒に歌ったり、動いたり、手作り楽器を一緒に操ったり…。実践を通じて、幼児とのかかわりを楽しみます。そして同時に、子どもとの触れ合いを通して、幼児を取り巻くさまざまな問題や課題に気づくことができます。幼児の生の姿の中に、多くの学びのヒントがあるのです。

音楽に内包される様々な可能性。

京女での4年間、想像力や創造力を駆使して、あなた自身の感性を磨き続けてほしい。それが、共感力や社会性の獲得にもつながるからです。
音楽という活動から、〈注意深く音に聴き入る〉〈リズムやメロディの違いに気付く〉〈からだの動きと音楽を関係づける〉〈次にやってくる音の瞬間を予感する〉といった行為が生じます。あるいは、音楽を通して〈他者と息を合わせる〉〈他者の表現を受容する〉といったことや、〈改善すべき点に気づく〉〈歴史・地域・季節など身の回りの出来事と音楽を重ね合わせる〉などの進展もあるでしょう。こうした行為の基礎となるのは、感性だと言えます。感性は、共感力を高めることに通じているのです。音楽から得られるセンスは、社会にある様々な問題に直面した際に有益であると私は確信しています。

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