PROFILE

現代社会学部 現代社会学科
諏訪 亜紀先生
Suwa Aki

研究テーマ:環境政策・再生可能エネルギー政策 2004年ロンドン大学博士課程(エネルギー政策)修了、博士((Planning Studies/ロンドン大学)。2009年〜2014年国際連合大学高等研究所リサーチフェロー。温室効果ガスの削減やアジアの大気汚染対策などの環境政策を専門とし、より実効的な技術、政策、および地域に根付かせるための制度設計に関する研究・提言を行っている。

 地球も、地域も、
幸せにできる政策を考えよう。 

もし、あなたが毎日使っている電気が、誰かの犠牲のもとに作られているとしたら…。実際、これまでのエネルギー政策は、発電所等の立地する地域の負担のもとに推し進められてきました。このゼミでは、地球温暖化ガスの削減に貢献する「再生可能エネルギー」を、地域と協力しながら発展させる方法を探しています。すでに全国で再エネ普及の取り組みは始まっていますが、課題は山積み。あなたが相手にするのは、そうした現実にある課題です。現実と向き合うには、頭で考えるだけでなく、積極的に社会と関わり、人と交わることが求められます。その経験はあなたを大きく成長させてくれるでしょう。

“再エネ”を社会に根づかせたい!

太陽光発電や風力発電、地熱発電などの再生可能エネルギーは、地球に優しい夢のテクノロジーと言われています。しかし、“再エネ”といっても夢ばかりではありません。新しい技術の導入は常に、住民と事業者、あるいは行政機関との間に軋轢を生じさせます。このゼミでは、こうした軋轢を回避して新しいテクノロジーを地域の発展につなげるための仕組みづくりや、消費者が安心・納得して使える制度づくりについて研究しています。ただ、こうした仕組みづくりが必要なのは“再エネ”に限りません。人間が大規模に何かをつくろうとしたり、社会システムを大きく変更しようするときには必ず、社会環境や社会に影響を与えます。したがって学生個々の研究テーマは、それぞれの興味に応じて、工業製品や廃棄物、メディアなど環境政策に関するさまざまな領域を対象としています。

教科書の中に「答え」はない!

環境学はさまざまな現実の課題を相手にしながら、その解決を実証的にめざします。奈良県の小規模水力発電を研究テーマしたゼミ生は、県内全ての発電所を現地調査しただけでなく、自治体や住民との対話を通して優れた資金管理の方法を見つけだしました。また、洋服の製造過程をテーマにした学生は、実際に製造工場で環境影響調査を実施し、さらに海外工場との比較を行いました。答えは、教科書や文献の中にはありません。自らの目で見て、耳で聞いて確かめることなしに「事実」を知ることはできません。また、行動することなしに「答え」には辿りつけません。全ては、あなたの行動力にかかっています。また、このゼミでは、他大学との共同研究や交流会、政策を競うプレゼン大会などにも参加しています。異なる意見、視点にふれて大いに刺激を受けてほしい。その刺激こそが、あなたを成長させてくれるはずです。

社会人となるあなたに、身につけてほしいこと。

ここで身につけてほしいのは、課題解決に向けた解決策を「事実」の裏付けをもって語り、周囲を説得できる力です。それは将来、あなたが企業や組織のなかでも必要とされる人材となるために欠かせない力であると思います。そしてもう一つ、研究を通して身につけてほしいのが、社会的な弱者やマイノリティに対する温かな眼差しです。あなたが将来、どんな仕事をするにしても、彼らを無視することなく、目を向け、耳を傾けてほしい。働くということは、自らの幸福追求だけでなく、社会に貢献することでもあるのですから。そのことに、環境学の学びから気づいてほしい。そんな大人の目で社会を見つめ直し、自らの進むべき道を見つけてくれることを願っています。

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